出版社内容情報
戦時の食糧であり、勝敗を左右する重要物資でもあった兵粮。領国を支配する戦国大名たちは、兵粮をどのように取り扱い、戦いに臨んでいたのか。戦況に応じた調達法や、平時の備蓄、物資購入費や給与としての役割など、兵粮を「モノ」と「カネ」の二つの側面から分析。戦国期の戦争と経済の関係を明らかにし、戦国大名と社会のあり方を捉え直す。
内容説明
戦時の食糧であり、勝敗を左右する重要物資でもあった兵粮。戦国大名は、これをいかに取り扱い、戦に臨んだのか。調達法や備蓄、食糧以外の用途など、兵粮のさまざまな側面から戦国大名と社会のあり方を捉え直す。
目次
兵粮への視線―プロローグ
戦国大名登場までの兵粮
戦時の兵粮・平時の兵粮
戦国社会の経済状況
兵粮の到達点
兵粮のゆくえ―エピローグ
著者等紹介
久保健一郎[クボケンイチロウ]
1962年、北海道網走市に生まれる。1985年、早稲田大学第一文学部史学科日本史学専修卒業。1993年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、早稲田大学文学学術院教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YONDA
18
「モノ」としての兵粮、「カネ」としての兵粮。北条氏を例にあげて解説し、戦いの裏側を見ている気がした。第二次国府台合戦の引き金が、里見勢の「ねたん(値段)問答」だとは面白い。そして兵粮の調達・運搬に頭を悩ませる戦国大名の苦悩も垣間見ることができる。「腹が減っては戦はできぬ」を知る本である。2018/04/25
鯖
10
兵粮は米だけでなく軍事に必要な物資一般をさすと知って驚いた。戦国大名が物資の統制を図ったとしても、ただでさえ食糧自給率が低い時代だし、それを更に低くする一因でもある戦場に集めること自体が困難だし、民はもっときついよなあと当たり前のことにしみじみ。資料として使われている文書は北條氏のものが多くて、やっぱり北條すごいや…となったり。もう少し結論や概略でざっくり説明してくれるところがあるともっとよかった。2016/11/19
Mzo
10
戦国時代を中心とした中世の兵粮の扱いについて。兵粮は、食糧としてのモノだけでなく、諸々の取引に使われるカネとしての一面も有する。そういう経済的側面から書いた小説があっても面白いと思う。2016/04/10
六点
9
兵粮とは米だけを指していたわけでなく、戦争に必要な物資一般を指していたことに素直に驚いた。戦国大名は物資の統制を図ろうとしても、なかなかそれが果たせずにおり、天下一統、朝鮮進攻、島原の乱に至るまで、大名や武士が経済と流通に振り回されていた事に、こう、なにか無常観を感じた。戦争は経済を従属させるのではなく、経済に従属させられていた面もあったのではないのかなあと、ふと、考えた。2016/03/07
Hiroki Nishizumi
4
事実関係は正確にあたっていると思うが、内容に今ひとつ深みが無い印象だ。2020/02/21