出版社内容情報
桓武平氏とされ、相模国随一の大豪族と呼ばれた三浦氏。今、その実像が見直され始めている。武家政権の成立を支えた義明・義澄、朝廷に対する顔役の義村ら代々幕府の重鎮を輩出しながらも、宝治合戦でいったんは滅ぶ。しかし、佐原系三浦氏や三浦和田氏らは中世末まで存続し、その足跡は全国に及ぶ。三浦一族の興亡から日本中世史を見つめ直す。
内容説明
近代、科学の進歩や機械化により「腐敗」の問題を断ち切った日本の酒づくり。全国の老舗酒造家たちは、酒税の改変や災害、不況、戦争など、激動の時代をいかに乗り越えてきたのか。酒造五〇〇年の歴史を鮮やかに描く。
目次
いつから“日本酒”というようになったのか?―プロローグ
日本酒造地の誕生
近代の日本酒造地
酒税と科学的な日本酒づくり
戦時下の日本酒造業
現代の日本酒事情―酒造地の変動
“日本酒で乾杯”―エピローグ
著者等紹介
鈴木芳行[スズキヨシユキ]
1947年、新潟県に生まれる。1974年、中央大学文学部史学科国史学科卒業。1978年、中央大学大学院修士課程文学研究科国史学専攻修了。現在、中央大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
9
自宅近くのスーパー店頭に並ぶ日本酒の産地を見ると、全国ブランドは別として、東北、北陸が圧倒的で西日本はあまり見かけません。ところが、明治期には産地は西日本に偏在していました。中でも、福岡県城島(親戚がいます)が九州の灘と言われ一世を風靡していたとは、ついぞ知りませんでした。また新潟が戦後伏見・灘並みの酒造地を作り上げたのは、吟醸酒づくりと級別酒税の廃止によるものであることも初めて知りました。日本酒は断片的な知識しか持ち合わせていませんでしたが、本書は、その歴史を紐解きながら体系的に理解させてくれる好著です2015/08/27
金吾庄左ェ門
4
酒と税との関係が強く印象に残りました。江戸時代は米が基本の経済。酒の原材料は米となれば、それは権力の厳しい統制下に置かれるのは必定でしょう。多少の規制緩和はありましたが、基本は税収による財政安定の大きな手段だったのです。それは現代になっても変わらない事ですが、日本酒による酒税の歳入は減収の一途のようです。権力の財政事情に振り回されながらも、発展と進化を遂げてきた日本酒がいつまでも続く事を願いたいです。2025/05/30
spike
4
10年以上前に書かれた本、しかも著者は歴史学者ではあるけれど酒はある意味本職ではないこともあって、読み進めていて「あれそれそうだっけ?」という記述は若干ある。とはいえ、江戸期から平成中期くらいまでの日本酒製造の変遷を、歴史学者らしく丹念におさえているところは数々勉強になる。2025/05/10
ニュー澄
4
専門外の分野ゆえどんな史料を使っているのか注目して読んだ。 酒造会社の社史や酒造組合の沿革史系は予想どおり、結構意外なのは税務関係の史料がかなり使われていること。国税や各地の税務署が作った酒に関する調査報告がかなりあるらしい。 国税庁は単に酒税を巻き上げるだけでなく酒作りの研究所なんかも持ってるわけだが、税制と産業との関わり方という面で酒造というのはユニークだなと感じた次第。2024/11/22
Naoya Sugitani
4
近現代史+日本酒ということで、日本酒好き学徒としては読まずにはいられなかった一冊。酒税がかつて一番の主要財源だった話、醸造アルコールの話など、日本酒がどう近代に変遷したのかを描く。酒好きにぜひ読んでほしい一冊。2017/08/12