歴史文化ライブラリー
平安京の災害史―都市の危機と再生

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  • サイズ B6判/ページ数 198p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784642057455
  • NDC分類 210.36
  • Cコード C0320

内容説明

華やかなイメージの一方で、天災や疫病などがくり返された平安京。時に猛威をふるう自然環境を人びとはどのように捉え、災害にいかに向きあってきたのか。平安時代四〇〇年の歴史を、都市・社会問題の視点から再検証。

目次

災害から見た平安京―プロローグ
飢饉の惨状(養和の飢饉;飢饉と環境;消えゆく村々;都市氏の求心力)
洪水とその対策(洪水被害の実態;治水の試み;鴨川の河原)
疫病の流行(疫病と御霊会;摂関期の疫病;恐れと祈り)
地震の発生とその対応(平安初期・中期の地震;院政期の大地震;庶民住宅の被害)
火災発生の状況と背景(火災都市・平安京;都市の防火対策;「町」の変化と火災)
くり返す災害と変わりゆく平安京―エピローグ

著者等紹介

北村優季[キタムラマサキ]
1956年、三重県に生まれる。1985年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、青山学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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mazda

68
飢饉や洪水など、昔からいろんな災害があっても、国家として1つであったことから2600年以上続いてきたのが日本です。現代の政治は非常に怪しいですが、国民が変わらなければ国は存続していくでしょう。2024/01/11

だまし売りNo

45
京都は鴨川による水害の被害に遭ってきた。白河等の鴨川の東側の発展が水害被害を拡大させた面がある。「鴨川の東岸に堤防が作られれば、西岸の方向にある洛中に洪水が流れ込んだことは、容易に想像される。東岸、とくに白河などに集中して護願寺などが作られたことが、京中にとってはかえって氾濫の危険性を高めた」(56頁)。白河法皇は賀茂川の水、双六の賽の目、山法師を天下三不如意としたが、鴨川の水害は白河法皇による白河の開発も原因であった。再開発などの乱開発が水害の原因になることは現代でも批判されている。2024/01/31

chang_ume

7
「災害」を切り口に、描き出されたものは平安京の都市化と変容。鴨川に関する章が特に読み応えありました。10世紀を画期として、西京や西七条など平安京内の各所で進展した都市ブロック化は、鴨川河川敷では「河原」と呼ばれる集住域を形成していく。この鴨川の都市化について、範囲を四条以北と具体的に画定。さらに11世紀史料に記述された鴨川の新流路開削に関して河川敷内の事業とする解釈などが、本書の明らかな成果かもしれません。また鴨川への古代架橋が、祇園社や清水寺への参詣路としての性格指摘も重要。豊富な史料紹介もありがたい。2019/07/14

遊未

6
京都の災害というと火事と疫病、そして、鴨長明による地震の記述は有名です。洪水も問題であったし、治水の試みがあったことは知りませんでした。疫病も例えば西洋のペストは「デカメロン」のように富裕階級は逃げている訳ですが、日本では貴族層が閉じられた世界ということで続々と病死していきます。避難という考え方はなかったのか、その違いが知りたいところです。2016/08/14

名無し

5
もののけ姫の登場人物、ジコ坊は映画の中でこう言っている。「(前略)この前来たときはここにもそれなりの村があったのだが洪水か地すべりか…さぞたくさん死んだろうに…戦さ、行きだおれ病に、飢え。人界はうらみをのんで死んだ亡者でひしめいとる。タタリというならこの世はタタリそのもの」 この本は「うらみをのんで死んだ亡者」を歴史学的に復元しようとした本とも言えるかもしれない。反面、平安京(都市)の持つ機能、性格を論じた本とも言えます(筆者の専門はこちらです)。一読の価値があるかもしれません。2013/04/02

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