内容説明
藤原鎌足とは何か。藤原氏の始祖、聖徳太子と並ぶ王権の輔佐役。仏教者の理想にして入鹿を誅殺した武威の象徴。肖像画・彫刻から紙幣、現代アートまで。無限に増幅する鎌足の歴史的イメージに迫るあたらしい人物史。
目次
誕生―王権輔佐の始祖(始祖誕生の風景;一四〇〇年の血族;珠取り説話の変容)
運命―靴でむすばれた君臣(靴脱げた!;天と地の間につり下げられている者;理想の君臣像)
改新―勝軍地蔵の鎌(鎌に斬られた首;東路のはての鎌足;鎌倉の鎌足)
崇仏―在俗の仏教者(維摩居士像の系譜;新羅明神像の変身;豊臣秀長とまぼろしの宗教構想)
不死―破裂する神(破裂する大織冠像、鳴動する多武峯山;神格化の道程;肖像のヒーロー;変身とう鎖―エピローグ)
著者等紹介
黒田智[クロダサトシ]
1970年、埼玉県に生まれる。2001年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。2007年、早稲田大学高等研究所助教。現在、金沢大学人間社会学域学校教育学類准教授、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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withyuko
7
あまりにもいろいろな話が出てくるので、難しかったが、興味深い本だった。鎌足さんは、後世の人々にすごく影響があり、全国に信仰される神社があるが、やはり”多武峰”は特別のようです!個人的には、秀吉が弟の秀長を大和郡山城主にしたとき、多武峰から鎌足公の木像を大和郡山に持ってきてまつろうとしたら、次々に不幸が起こり、多武峰に戻すことになったというお話と、鎌足公の木像が破裂(ひびが入ったりする)と不吉の印だとして、当時の藤原氏の氏長者に連絡 、護摩をたくと不吉がおさまるのが印象的だった。2020/12/10
あまたあるほし
1
近年にいたっても大臣を排出する一族。大織冠→蛸壺、蛸と戦う海女へ。再生産されるイメージと維摩居士としての扱い。秀吉の庇護と、秀吉、家康肖像への影響。百円札は松方正義をモデルに。2012/02/19
Top Of Willows
0
様々な事例を視覚的にも表現した本。ただ、まとまりに欠ける。2015/01/21
おふとん
0
あらゆる視点から鎌足像に迫っていて面白かった。2015/01/23
吃逆堂
0
藤原鎌足がのちの時代にどのように認知され、取り扱われ、イメージの再生産がされていったか、という壮大な人物史。豊富な見識に裏打ちされて、その視点は日本中世を中心にしつつも、上古から近世、近現代まで、中国やヨーロッパにまで広がる。中大兄皇子の蹴鞠から、話がシンデレラやオイディプスに及ぶくだりは圧巻。2011/01/30
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