内容説明
贈り物に熨斗を添え、職場の新人に歓迎会をするのはなぜか。源義家への豪華接待、将軍が与えた亥子餅、八朔や歳暮に贈られた名産品・鯨などの水産品・果実などから、参加者の縁を結ぶ贈り物・宴会の意味と役割を解明。
目次
贈り物と宴会の本質―プロローグ
客人の接待と贈答
室町幕府の年中行事と贈答
水産物の贈答と宴会
味覚と贈答
贈り物と宴会をめぐる問題―エピローグ
著者等紹介
盛本昌広[モリモトマサヒロ]
1958年、神奈川県に生まれる。1972年、慶応大学文学部国史学科卒業。2000年、中央大学より博士(文学)学位授与(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
94
中世の贈答を中心にして、当時の互酬性に満ち満ちた社会が描かれている。風習は姿を変えて、民俗社会の語彙となり変容しつつ生き延びていたりする訳である。しかし、月卿雲客に類いする人達が、ある年、贈答用にふさわしからぬ物品の量しか集められない時、その次の年2倍の贈り物をするとは、当事者が足利義教である事を知り、人物と言うのは多様な側面を持っていると思ったものであることだよ。2024/07/17
MUNEKAZ
9
中世の宴会と贈答を紹介した一冊。どちらかというと後者の話題に比重が置かれており、八朔や節会ごとの大規模な贈答習慣や、献上品・贈答品に選ばれた各地の名物が知れるのは面白い。生魚を輸送できない時代のため、干物や塩辛が多いのがなんとも印象的。また年貢も含めてだが、自分で「買う」よりは人から「もらう」ほうが多い時代故に、贈答にかける情熱や重要性も、現代とは自ずから違ってくるのだろう。2020/02/21
よしあ
1
そもそも贈答の記録が残っているのは、身分の高い方々であった。年貢として強制的に貢がせる。あるいは慣例として。 関係性を保つための贈答は現在も。もらったらお返しをしなければ、というのは日本人に刷り込まれているようだ。 事例を挙げていくのだが、中世とはいえ年代の巾が大きそう。2024/04/11
茶坊主
1
平安~安土桃山時代の各種の贈答についての研究。 日本の贈答には互酬性の色合いが強い。 当時盛大に行われてた八朔の贈答は今のお中元に 通じるのかな? 新任の国司や他の土地に出掛けていた人は、「坂むかえ」として国境で迎え、宴会を行っていた 「境界」という意識が働いていたのかも。 中世では寺社仏閣にお詣りしてきた人が、持ち帰るのは「宮笥」、土地の特産品として国に納めるのが「土産」。 へぇ~~、が多くて楽しめた2024/01/07
wang
1
室町時代は八朔の贈り物が最大の催しのようだが、今に通じるようなこともあり面白い。贈り物に適する物が入手しにくい当時、今年は贈り物が十分揃わなくて送れなかった相手にもちゃんと覚えておいて翌年に2年分贈るとか意外と義理堅くて面白い。宴会も慣例化し、歓迎される側が人数を増やしたり回数を増やす要求をしたり。魚や鮨、蜜柑、羊羹とかの当時の食品がどういうものかわかるのもよい。2019/11/25
-
- 和書
- 趣味で相対論