出版社内容情報
★読売新聞 2007.6.3 読書面で紹介
評者:磯田道史氏(茨城大学准教授)
★朝日新聞 2007.6.10 読書面で紹介
評者:野口武彦氏(文芸評論家)
内容説明
名告、詞戦い、聞き逃げ、悪態祭り、「おらぶ」、売り声…。歴史の中で言葉はいかに発せられ、それはどのような働きをしたのか。訴訟や合戦での名のり、神仏への叫びなどを事例に再現。顔を隠す意味、詞の持つ力などを検証して、文字史料には残らなかった口頭伝達の世界に迫る。
目次
歴史の中の詞―プロローグ
訴の場景(古代の訴;中世の訴の場景)
声・詞の力と民俗(群衆の詞と平家のおそれ;詞の民俗)
ことばと文書の共生(声から文字へ、耳から文書へ;書から詞・耳へ)
顔はものをいう(顔と音声;顔を隠す;対面の民俗)
音声と文字、顔と平和―エピローグ
著者等紹介
蔵持重裕[クラモチシゲヒロ]
1948年、東京都に生まれる。1972年、立教大学文学部史学科卒業。1982年、一橋大学大学院経済学研究科博士課程後期退学。立教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
2
中世日本における声に出された言葉の力について。訴状やお触れなどの文書は読むだけで無く、声に出して皆に聞かせることで初めて効力を持ったというのは面白い。文字を読むというのが個人的な営みだとすれば、声を聞くというのは複数の間で行うことであり、共同体全体の同意を得るためには必要だったのであろう。またそれに伴って声を出す「顔」の重要性にも触れられている。「中世=文書主義」という捉え方が一面的なものだと分かる一冊。2017/05/07
メルセ・ひすい
0
9. 15 ・今一 教科書風・・・ 歴史の中で言葉はいかに発せられ、それはどのような働きをしたのか。訴訟や合戦での名のり、神仏への叫びなどを事例に再現。顔を隠す意味、詞の持つ力などを検証し、文字史料には残らなかった口頭伝達の世界に迫る。2007/08/01