内容説明
豊臣秀吉子飼いの武将であり、虎退治伝説で有名な加藤清正。はたして彼は忠君・武勇の英雄なのか、無慈悲・兇暴な侵略の尖兵だったのか。秀吉の朝鮮侵略における清正に焦点をあて、新たな人物像と侵略の実態を描く。
目次
清正の咸鏡道侵入(清正・行長のソウル先陣争い;咸鏡道支配と朝鮮王子の拿捕 ほか)
日明和議折衝と晋州城攻撃(和議折衝と明軍の策略;日本軍の晋州攻撃 ほか)
清正と朝鮮僧松雲大師の談判(清正の西生浦築城;清正・松雲第一回会談 ほか)
朝鮮再侵略と清正の蔚山篭城(秀吉冊封と勅使逃亡;三成・行長の清正讒訴 ほか)
朝鮮侵略の終焉(日本軍の朝鮮撤退;朝鮮侵略の後遺症と伏見の騒動)
著者等紹介
北島万次[キタジママンジ]
1935年、愛知県に生まれる。1957年、早稲田大学文学部史学科卒業。1959年、東京都立大学大学院人文科学研究科(修士課程)修了。1991年、文学博士(早稲田大学)。2005年、共立女子大学教授をもって定年(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
7
本のオビの、「忠臣・武勇の英雄か? 無慈悲・凶悪な侵略者か?」とありますね。そのすべてなのです、加藤清正という人物は。質問に意味がないと思いますよ。そもそもこの朝鮮出兵は、朝鮮や明国にとっては、なんの利も義も礼もない、単なる侵略戦争です。日本国内で考えてみても、単に老人の気まぐれの戦争です。正当化する価値などありません。400年後の今になってもその尾を引きずっているとしたら、情けないことです。日本でこの戦争に人気がないのもうべなるかな。かといって、現代人が慚愧の念に浸る必要もないとも思いますが。(笑)2008/02/27
可兒
7
たまたまそういう本に続けて当たっただけかもしれないが、文禄・慶長の役について「偉い人」が書いた本は、とにかく「侵略者」であり「敗北者」である豊臣軍を罵って終わる。調べた結果そうなら別にいいのだが、肝心の学術的見解がお粗末。論拠なき神話をこちらに押しつけておいて、「実像」を称するとは笑止千万2009/10/26
こまさん
2
文禄・慶長の役の研究者だからこうだろうとは思っていたが、自身も「あとがき」で書いているように年表のような退屈な本だった。清正のことは結局何も得ることが無かった。とても残念。2017/04/08
韓信
1
壬辰戦争における加藤清正の活躍を通して侵略戦争の実像を描く概説書。清正の動静と朝鮮・明側の対応が非常に詳細に描かれており、女真や流刑者の多い辺地・咸鏡道では朝鮮王朝へ対立的な在地叛民の協力があったこと、清正との和平交渉にあたった朝鮮の義僧兵将松雲大師の活動など、新知見が多くて読み物として面白かった。秀吉の和議の条件を奉じる清正と、虚偽の和議条件で交渉を進める小西行長の対立も詳述しているが、なぜ行長が封貢を条件としたのか理由まで深掘りして欲しかった。秀吉の割地・人質より現実的な落とし所を探っていたのだろうが2025/06/05
雨巫女
1
朝鮮侵略の内容がよくわかった。2009/04/09