出版社内容情報
★読売新聞 2006.4.9に紹介されました!
評者:苅部 直氏(東京大学助教授)
内容説明
日本人の多種多様な苗字と名前は、何に起因するのか、その起源を探り、日本独特の苗字の歴史をたどる。家名と家制度、男性と女性の違い、現代の夫婦別姓問題など、様々な視点から分かりやすく説いた蘊蓄あふれる書。
目次
「名づけ」の今日と過去(「名づけ」をめぐる諸問題;中世・近世の庶民の一生と人名の変化)
姓と苗字(姓、苗字、そして氏;古代貴族の姓 ほか)
男性の名前(中世男性の名前の種類;近江国菅浦住民の人名 ほか)
女性の名前(平安~鎌倉時代の女性名;夫婦別姓から夫婦同苗字へ ほか)
名前と社会(家名と家制度;名前からわかる社会秩序と習俗)
著者等紹介
坂田聡[サカタサトシ]
1953年、東京都に生まれる。1985年、中央大学大学院文学研究科国史学専攻単位取得退学。中央大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
18
日本人の名前構成史の研究概要をまとめた一冊。姓、氏名、苗字について明確に分けないで使っていたが実際は形成過程や意味合いが異なる。現在の私たちが使っているのは苗字、家名である。では、氏名(うじな)はなにかというと歴史的に言えば天皇に仕える集団名であり、姓(カバネ)は朝廷から与えられる名称となる。官位制度が整えられると姓は形骸化し、氏名に統合される。苗字はなんのために使われるようになったかというと単純にまとめると家と後継者やメンバーたちの立場や利権を守ることにつながるため、多くの人々も名前の継承を行っていた。2024/05/18
朱音
2
「上田っていうのは村の上のほうに田んぼを持ってたから」みたいな感じの由来話かと軽い気持ちで借りたのだが、真面目な学術系だった。江戸以降くらいの比較的最近?の話を期待していたのでちょっと残念。童名・烏帽子成りなどの名前の変化は興味深い。元服の時に名を変える風習など残っていたら面白いなぁ。2010/05/09
figaro
1
氏、姓、苗字の歴史的な違い。氏と姓は、氏姓制度から始まり、平安時代には荘園の成立とともに、その区別は消失する。ただし、氏も姓も天皇から与えられ奪われるものであるという特徴は残り、また、氏も姓も家の名ではなく、氏集団の名であった。これに対して、苗字は地名や職名から成立し、特に、室町以降は、家の名となった。今日では、氏も、姓も、苗字も同義だが、それが指すものが、氏集団→家→個人という変化を読みとれる。2025/04/20
amabiko
1
名前を通して社会の変化とくに家制度の確立という問題に切り込んだ良作。姓と実名、苗字と通称(字)がセットになる。2014/12/14
wang
1
主として室町時代の庶民の名前を収集し前後の変化を研究。庶民の名前と字に注目しての解釈、童名・烏帽子成り・官途成り・入道成りでの名前の変化やそれができない階層や性に関しての研究など独創性が高い。苗字の歴史や貴族層・武士層の実名など入門的なものを期待する人には不向き。2009/08/12
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