内容説明
江戸幕府の幕臣は、明治維新後、近代的な学制と高い教育内容の沼津兵学校を創設し、人材育成に努めた。やがて、各界で活躍の場を見出していった旧幕臣を通して、明治維新の敗者が近代社会でどう生きたのかを明らかにする。
目次
誇り高き徳川の遺臣たち―プロローグ
「賊軍」のゆくえ(徳川陸軍の最期;戦敗者の群れ)
教育に賭ける(沼津兵学校の教育;受け継いだもの創り出したもの ほか)
敗者復活(武士から軍人へ;藩閥のなかの旧幕臣 ほか)
遺臣から国民へ(旧幕臣の親睦と育英;歴史の見直し)
旧幕臣にとっての近代―エピローグ
著者等紹介
樋口雄彦[ヒグチタケヒコ]
1961年、静岡県に生まれる。1984年、静岡大学人文学部卒業。沼津市明治史料館学芸員を経て、国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
1
「著者が一番やりたかったことは、それら(個別の幕臣)一人一人の人物についての紹介である」(あとがき)という作者による、沼津兵学校をメインにつづられる幕臣たちの「その後」の物語。それだけに終わりの方は本当に行間に著者の愛が溢れてて(笑)微笑ましくもとても気持ちのいい本でした。それこそ個別の人物についてもっと調べてみたくなりました。2014/09/09
wang
0
徳川宗家が静岡に移封され教育重視の視点から創設された沼津兵学校。わずか4年弱の期間しか存在しなかったが、中下級の幕臣を中心に明治の世を担う人物を輩出するきっかけとなった重要な教育機関。優秀な教授陣は他藩に貸し出され、また留学生も受け入れてきた。学校はどのようにして作られ、どういう教育をし、教授陣は誰で生徒は誰だったのか。数少ない史料から、できるだけ個人の来歴を明確にし伝説や噂話ではなく実態を残そうとした良書。政府首脳部には数が少なかったが、明治の官吏・軍人の多くが静岡学問所含め幕臣出身が多い。2017/07/06
山河童
0
タイトルに惹かれて。沼津兵学校は知らなかったが、旧幕府は人材の宝庫だった感が。2015/08/25
8
0
この分野では現在ダントツで独走中の筆者が、元の職場でもある沼津を扱った本なので、完成度もピカイチである。まあ沼津兵学校に入学している時点で、だいぶ上澄みなんじゃないかと思わないでもない。実務を担った御家人の多くは、新政府に仕えて働いているんだけど、最後までほぼ出て来ない。 佐々木慎四郎は静岡藩士ではあるけど、幕臣かなぁ…。2025/07/07
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