内容説明
武道はいかに誕生したのか。文明開化の時代、武士階級と結びついていた武術は、存続をかけて新しい道を模索する。講道館柔道をモデルに、格闘技興行や軍国主義の影響、戦後のスポーツ化など、知られざる武道の歴史を探る。
目次
柔術から柔道へ
講道館柔道の発展
海外への普及
武道とスポーツ
スポーツの「武道」化
武道の「スポーツ」化―エピローグ
著者等紹介
井上俊[イノウエシュン]
1938年、宮城県に生まれる。1963年、京都大学文学部(社会学)卒業。大阪大学人間科学部教授、京都大学大学院文学研究科教授などを経て現在、甲南女子大学人間科学部教授
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感想・レビュー
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バッシー
1
「武道」が明治以降につくられたものだったとは初めて知った。そもそも「~道」というものは、だいたい明治~大正期に、それまであったものに精神修養的な意味を加えて作られたという。「伝統」は作られるもの。2022/11/10
URI(病気養生
1
主に柔道史であるが「武道の発明」という作られた伝統というか近世から近代に移る過程への再発明。そしてその目指したものの一部が軍国主義に取り込まれていく、これはひとつの日本の思想史とも言える2014/04/24
ポルポ・ウィズ・バナナ
0
武道は古来の伝統文化ではなく明治中期以降、武術や武芸が「近代化」される過程で形成された近代文化。嘉納治五郎は想像以上に近代的かつ科学的思考を持った人物だったのだな。しかし、それゆえに「修養主義思想」を持ち出し、結果、国家はそれを都合よく利用した感。2015/05/19
siomin
0
柔道を中心に、日本の「武道」の成り立ちをまとめた本。各地で様々に行われていた「柔術」を、明治になって嘉納治五郎が講道館をつくりルールをまとめ普及して、「柔道」を誕生させたわけです。「日本の伝統」といわれることは、得てして近代になって作られたことを再認識します。 本の中には、明治以降のスポーツ受容状況も記されています。そういえば、だいたいのスポーツって19世紀後半に誕生してるんですね。野球にしろ、バスケにしろ、バレーボールにしろ。サッカーにしても、ルール整備をしたのは19世紀後半になってから。それから世界各2014/03/01
米川青馬
0
読了。講道館柔道と嘉納治五郎を中心に、明治時代に武術が武道となっていった過程を紐解く。柔道というのはほぼ嘉納の造語で、そこから剣道、弓道…が同様に立ち上がっていった。嘉納は早くから柔道を世界に広めようとしており、オリンピックにも意欲的だった。また、段級制度という日本独自のヒエラルキーは、もともと嘉納が「初心者が飽きずに力をつけていけるように」というサービス精神からできたものだという。今の僕らは相撲と柔道を対にして語ることが多いが、こうして見ると全然違う。相撲も柔道も、なるべくしてこうなっているのだ。2012/03/25
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