歴史文化ライブラリー
遊牧という文化―移動の生活戦略

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  • サイズ B6判/ページ数 213p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784642055093
  • NDC分類 389
  • Cコード C0320

内容説明

遊牧は、ヒツジを追って砂漠を放浪する気ままな旅ではない。それは、自給よりも国家権力や市場を志向する政治的な営みである。移動によって人間の生活はいかに組織されるのか。西南アジア遊牧民の知へのあくなき洞察。

目次

遊牧民とはなにか(牧畜と遊動;西南アジアの遊牧民;遊牧民の二類型)
牧畜に生きる―パシュトゥーン遊牧民(夏の牧野;牧畜経済とその背景;放牧の技法;秋と冬の暮らし)
多様な生業をつむぐ―バルーチュ遊牧民(マクラーンの生活風景;砂漠の農と牧;宗教的少数者として)
遊牧という文化(政治的なものとしての遊牧;遊動の社会力学;柔軟な社会構造)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

びっぐすとん

15
図書館本。遊牧といっても飼育動物や遊牧のスタイルは様々。アフガニスタンのパシュトゥーン人とパキスタンのバルーチュ人の比較。都市定住民と交流し経済の仕組みの中に入ることで豊かなパシュトゥーン人と、定住民とは交流せずその日暮らしで貧しいバルーチュ人。閉鎖的な風習は宗教も無意識のうちに異端となり、益々浮いてしまう。遊牧という生活は生業としても人間関係も厳しい社会であり、誇り高くあることで自らを律する社会なのだ。昔はなかった国境が遊牧民の生活にも影響する。政治力がなければ遊牧もできない。カラー写真を見たかった。2019/12/01

サアベドラ

6
遊牧民の文化誌。アフガニスタン北東部のパシュトゥーン人遊牧民とパキスタン南西部のバルーチ人遊牧民の一年の暮らしを具体的に、淡々と綴る。一般に「遊牧民」という言葉からイメージされる生活に近いのはパシュトゥーン人のほう。バルーチ人は生きるために日雇い労働とか色々やってるのであまり遊牧民という感じがしない。この手の文化人類学的な本はあまり馴染みがなかったので内容も書き方も興味深く読めたが、エピローグの薄っぺらい現代文明批判にはちょっと幻滅。あといくら一般向けとはいえ参考文献表は付けておいてほしい。2012/11/15

韓信

2
アフガニスタンのパシュトゥーン遊牧民とパキスタンのバルーチュ遊牧民。アフガンの藩屏を担ったことから政治的な影響力を行使し、専業ヒツジ遊牧民として活動する前者と、行政や都市とは距離をおき砂漠でのヤギ遊牧と出稼ぎ労働を兼業する立場の弱い後者という、西南アジアの遊牧民の2類型から、それぞれの遊牧社会の構造と政治との距離感を平易に論じる。ヒツジの追随性をいかした具体的な遊牧の技法などの遊牧生活の実態も面白いが、既得権益や政治的地位のアピールのための遊動や都市の同部族との連携等の政治・社会面での議論が新鮮で興味深い2021/05/22

コバヤシ

2
何を食べ、何を生業とし、どのように放浪するのか。ヒツジやヤギなどの家畜をどのように扱っているか。近隣国の情勢が彼らの暮らしに与える影響とは。現存する遊牧民のうち2つの部族をとりあげ、彼らの暮らしについてまとめられている。言わずもがな、日本は先進国である。そこでの暮らしはもちろん最先端で、遊牧は時代遅れの生活スタイルである.....という価値観に著者は疑問を投げかける。 300頭のヒツジの群れをたった二人の牧夫で管理するという話には驚いた。 2016/12/12

ドウ

2
アフガニスタン北東部のパシュトゥーン遊牧民とパキスタンのバルーチュ遊牧民に関する民族誌。遊牧民、(ひいては部族もか)というものの政治性の主張が興味深かった。アフガニスタンでまだ遊牧なんて出来ているのだろうか……2016/01/04

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