出版社内容情報
わが国の古代道路は、人びとが踏み分けた、自然道の発展した小道と、長い間考えられてきた。しかし、近年の歴史地理学や考古学の成果は、ところによって道幅一〇メートルを超す直線道路であったことを明らかにしている。なぜこのような大規模な道路を建設したのか。海外との比較を交え道路の実態を探り、計画道路に隠された古代国家の実像に迫る。,
内容説明
自然道の発展した小道と考えられてきた古代道路。しかし、近年の調査成果は、道幅10メートルを超える直線の計画道路であったことを証明する。なぜ大規模道路を建設したのか、その背景にある古代国家の実像に迫る。
目次
世界の古代道路と本書の視覚―プロローグ
歴史地理学・考古学からみた古代駅路
古代の地域計画と道路
古代駅路をめぐる諸施設
東と西の古代駅路
古代の伝路
古代律令国家と道路―エピローグ
著者等紹介
木本雅康[キモトマサヤス]
1964年富山県に生まれる。1993年国学院大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。現在長崎外国語短期大学国際文化学科助教授。主要著書に古代東国の民衆と社会〈共著〉古代を考える古代道路〈共著〉神奈川の古代道〈共著〉図説長崎県の歴史〈共著〉長崎街道―長崎県歴史の道(長崎街道)調査事業報告書〈共著〉
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
2
余り研究が進んでいない「歴史地理学」に基づき、古代律令国家が全土に張り巡らした、道路に関する著者の研究成果をコンパクトにまとめている。従来考えられている以上に、古代道路は幅も広く、直線だった。恐らく、アウトバーンのような軍事インフラとして造られたと考えられる。その上、高速道路的幹線道と生活道路であるローカル道路などの複数の路線を組み合わせた複雑な交通システムだった事を少ない資料から考察していく。中継基地である駅の復元や、道が区画整理の指標になっていた事を現在の地理から類推したり、目配りは広い。2012/04/07