出版社内容情報
平安時代から鎌倉時代へ、激動の時代を生きた仏師運慶。定朝様の穏やかな仏像に対して、躍動感にあふれる清新な作品を生みだし、歴史の檜舞台に登場した。残された日本を代表する仏像を通して、運慶の真の価値、古代・中世の仏師の世界と日本の仏像の魅力を、現場からの最新の研究成果にもとづいて明らかにする、今日の視点からの新しい仏像論。,
内容説明
日本を代表する仏師運慶は、古代から中世への激動期に、清新な表現の仏像を生みだし、檜舞台に登場した。現場からの最新の研究成果にもとづいて、運慶の作品の本質と、日本の仏像と仏師の魅力を明快に説いた仏像論。
目次
運慶の魅力―プロローグ
運慶とその父
新しい表現
時代の要請
南大門二王像
組織の長
運慶と日本の彫刻―エピローグ
著者等紹介
副島弘道[ソエジマヒロミチ]
1952年神奈川県に生まれる。’79年東京芸術大学大学院美術研究科修了。現在、跡見学園女子大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
21
東大寺の金剛力士像について「二王像の表現は力強い運慶風で統一されている。そこに見られる多少の作風の差は、一組の像としての許容範囲にある。しかし、二体の作風に違いを認めるとすれば、それは運慶と快慶のあいだの微妙な距離がもたらしたものだ。」(144頁)運慶が許容したという懐の広さ。そして、快慶が同世代の芸術家として、ぎりぎりまで抑制しつつも、ほとばしった自己表現は、運慶への複雑な思いなのか。また、これぞ鎌倉といった荒々しく力強い表現から、晩年には異なった顔を見せていたこと(無著・世親立像)が興味深い。2025/07/20
umeko
14
とても読みやすかった。とりあえず「運慶」を知るには丁度いいかも。運慶その人のことだけではなく、仏師の歴史的な流れや当時の仏師たちの中でどのような位置づけかも俯瞰できる内容。2014/10/26
SK
2
運慶展の予習。作品論が多くて、初心者向きではないかなぁ。2017/09/30