内容説明
文永・弘安の役として語られる蒙古襲来は、戦場や武家政権のみでなく、地域社会に広汎な傷跡を残した。パクス・モンゴリカの世界情勢のなかで、日本の国家と社会はいかに対応し変わっていったのか、その具体像を描く。
目次
「異国征伐」を生きる人々―プロローグ
有事立法
異国征伐
平和令と悪党
弘安の新政
御田舞・異国征伐の記憶―エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やまだてつひと
3
蒙古襲来によってその時の幕府や朝廷等どのような影響を与えたかについて書かれている本。モンゴル帝国のイメージというのは、明治維新の際の列国諸国と対比される形で、教科書で教えられるような形が定着したとのこと。個人的に印象に残ったのは、南北朝の政権等が、対外的な影響を受けると一致団結して、それに対抗するという事はなく、内紛が勃発するというのは何か悲しくなった。 創作物等では、敵対していた勢力も対外的な共通の敵が出来ると協力するというのはよくある話だが、現実はそうではなかったという事を改めて実感した2024/05/30
nowonme
0
蒙古襲来をきっかけとする社会変動を弘安年間の史実に求めたもの。現在の一般的な蒙古襲来観が戦前戦中期の「独善的ナショナリズム」の影響を大きく受けていること、また鎌倉幕府の権力三段階構造歴史観について客観的に知れて興味深かった。2012/08/09
おらひらお
0
弘安年間10年間における国内の政治動向についてまとめたもの。蒙古襲来後大きな変化がおきたことがわかりました。ただ、タイトル買いの人は少しがっかりするかも・・・。元寇時の戦いの話はほとんどありません。2010/06/05