内容説明
古来、日本人は死後の世界=他界に親しみを抱いてきた。それは外来宗教の受容とさまざまな変遷をへて平安時代に定着する。この他界観を、現世に生きる者の眼で再構成し、そこにこめられていた日本人の思いを追求する。
目次
闇の中の死穢(黄泉の国;死穢の恐怖;蘇りの発想)
亀の上の山(乙姫の郷里;浦嶋子伝説;海神と山守)
白雲のたなびく彼方(山中他界;墓の山;山辺の煙)
後生二元論(輪廻転生;奈落への流転;浄土への往生)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろただでござる
4
図書館本。土葬と火葬では他界観にかなりの違いが出るのは想像できる。土葬だと腐乱しても体は残るが火葬では骨しか残らず、骨を見ただけでそれが誰なのかは殆どの人は判断できないだろう。そうすると荼毘に付した際に出る煙が「死者の魂(有るとすれば)がこの世に別れを告げる最後の姿」、でもやがて煙はいつのまにか見えなくなってしまう…その時に人は他界を思う。親しい人を失った者にはもうそれしか出来ることはない…というのには強く共感を覚える。「共同研究」とは違って読後感がすごく良い2020/12/26
やまだてつひと
3
地理的 物理的な境界線の向こう側にある他界に思いを馳せていたのが昔の人が達だったのかもしれない。 浦島太郎の話や一度地獄に堕ちた女性の話でもあったように、他界から戻って来る意味での蘇生という概念。違う世界に行ったとしても戻って来るというお話がある事に驚いた。歴史文化ライブラリーは『文化』と言う事に重点を置いていると思うが、その文化の成り立ちに重要なのが境界線であり、境界線を定めることで色々な想像力に繋がり、結果的に文化が形成されると言うことが7巻まで読んで感じた事ではある。2024/05/12
陽月
3
「あの世」とは、「黄泉」とは、「地獄」とは。日本人の、あらゆる宗教から一つを選ぶのではなく、全てを寛容に融合させてしまえる民族性に感服します。改めて記紀神話は読まないと駄目ですね。2013/08/25
takao
2
ふむ2024/04/07
hiro6636
1
大まかに黄泉の国、竜宮、山中他界、地獄と浄土から日本人の他界観を解説。2022/05/28