出版社内容情報
藤原四子の一人、式家宇合の嫡男に生まれ、官僚として出世街道を歩むが、突如大宰府に左遷。その後、僧玄昉と吉備真備の排除を訴える上表文を提出し、九州全土の兵を集め蜂起するもあえなく敗死する。両軍それぞれ一万人以上、奈良時代最大規模と言える内乱の首謀者となった生涯に迫り、死後怨霊として伝承となった姿にも説き及ぶ本格的な伝記。
内容説明
藤原広嗣。藤原四子の一人、式家宇合の嫡男に生まれ、官僚として出世街道を歩むが、突如大宰府に左遷。その後、僧玄〓(げんぼう)と吉備真備の排除を訴える上表文を提出し、九州全土の兵を集め蜂起するもあえなく敗死する。両軍それぞれ1万人以上、奈良時代最大規模と言える内乱の首謀者となった生涯に迫り、死後怨霊として伝承となった姿にも説き及ぶ本格的な伝記。
目次
第1 家系、一族
第2 誕生、成長、出身
第3 五位貴族として
第4 藤原広嗣の乱の勃発
第5 乱の展開と終息
第6 乱後の世界
第7 伝承上の藤原広嗣
著者等紹介
北啓太[キタケイタ]
1953年北海道生まれ。1984年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。宮内庁書陵部編修課長、同庁正倉院事務所長、同庁京都事務所長を経て、2014年定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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wuhujiang
3
広嗣は日本史Bをやった人なら名前を見たことがあるはず。奈良時代の人物ということもあり、生年もわからない中、わかる限りの政治状況に加えて乱当時の上表文(内容から真であるが草稿としている)から広嗣の反乱理由や人格までくみ取っている。近世以降の研究を良く読む身からすると「この一文からそこまで読み取っていいのか?」と驚くことも多かった。限られた手掛かりから真に近いものを推察していくところに古代史の魅力があるのだろう。2023/12/22
源義
2
北九州辺りで戦ったということを知ってから広嗣に興味を持ち、丁度発売された本書を読む。現在の藤原広嗣研究の集大成と言えるが、やはり反乱の動機ははっきりとはわからなかった。 とにかく玄昉が嫌いだったんだなという感じ。翻って考えると、玄昉って改めて何者なんだ?道鏡の影に隠れているが、玄昉もかなりやばい奴なんじゃないかと思い始める。本書はそのきっかけになった本と言えるかもしれない。 富野が登美鎮だと板櫃鎮と近過ぎる。苅田町の松山辺りではないだろうか?『豊前國古城記』(詳細不明)にそういう記事があるらしい。2024/02/29
アキンドン
1
私が幼少の頃、北九州市小倉北区金鶏町に住んでおり、板櫃川に「藤原広嗣の乱」の銘がありました。そのご縁で本書を購入したのですが、北先生の書き方が論文調で読み応えがあり、「こちらの立場を取ります」とシッカリ書かれて好感があります。聖武天皇の行幸に関しても、「逃げ腰ではなく、むしろ武威を示す為に、関東行幸した」とあり、中々面白かったです。吉備真備や玄昉など、奈良時代を代表する人物たちが生き生きと描かれ、日本史B奈良時代の知識を補強する上でも読書をオススメします。2024/01/11