出版社内容情報
出羽五七万石の礎を築いた南奥羽の戦国武将。山形城を本拠とし、家督を継ぐと対立する一族や白鳥・寒河江ら国人衆との争いに勝利して領国拡大、奥羽仕置の後「公家成」大名の地位を築く。“北の関ヶ原”を勝ち抜き、甥の伊達政宗と双璧をなす南奥羽の雄として君臨するまでの生涯を描く。連歌などに才を発揮し、改易後に伝説化された人物像にも迫る。
内容説明
出羽57万石の礎を築いた戦国武将!山形を見守り続けたその生涯を描く決定版!
目次
第1 義光以前
第2 義光の誕生と父子相克
第3 領国の拡大と白鳥氏・寒河江大江氏・天童氏
第4 義光の領国支配の確立
第5 奥羽仕置と「公家成大名」最上氏
第6 “北の関ヶ原”合戦
第7 近世大名最上義光
第8 文人としての義光と心象の世界
第9 晩年の義光と最上氏改易
第10 改易後の最上家臣と伝説化する義光
著者等紹介
伊藤清郎[イトウキヨオ]
1948年宮城県に生まれる。1971年東北大学文学部国史学科卒業。1976年東北大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。2000年東北大学より博士(文学)の学位取得。山形大学教育学部教授・同地域教育文化学部教授を経て、山形大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
50
歴史とは勝者によって作られた物語と言うが、一次史料に乏しい最上氏であっても、軍記物も使用しながらであるが、これだけの歴史叙述ができるのだ。…改易されずに江戸時代を乗り切っていれば、どれほど東北の歴史学が進展していたのだろうかと、思う。羽州探題から大封を保ったまま、江戸期を乗り切り、幕末維新へ……….実に胸躍る妄想が捗りませんか?2016/10/05
筑紫の國造
10
専門家による、非常にバランスの取れた評伝。伊達政宗と並ぶ奥羽の大大名、最上義光の生涯はもちろん、山形城の変遷や今に続く山形での「最上義光伝説」の形成にまで言及する。父子相克や周辺領主との戦いに勝ち抜いた義光は、合戦や政治の実力だけでなく、名門最上氏としてふさわしい、当時一流の教養人だった。花押や印判の変遷を通じて義光の立場の変化を辿るのも専門的な研究の一端に触れるいい機会になる。山形城絵図の移り変わりから、時代の変化も見て取れる。注文をつけるなら、もう少し義光のパーソナリティを知りたかった。2020/07/29
BIN
10
奥羽の驍将こと最上義光について系譜から義光の経歴、各時代の山形城のこと、内政、寺社、文化的素養について淡々と記載されている。父義守との相克は次男義時を溺愛していたからというのが通説?でしたが、義時自体存在していたか怪しいらしい。義光の戦については軍記もの以外に記載がないため、それによって描かれるしかないのが残念なところですね(今更新資料でるとは思えんし)。それにしても豊臣秀次に奪われた駒姫が嫁いで1ヶ月で一緒に殺されてしまったのは悲しすぎる。改易後の家臣たちはどうなったのかを軽くでも書かれていたのが良い。2019/01/12
MUNEKAZ
5
最上義光についてまとまって知れる良書。経歴から文化活動、宗教観、果ては居城・山形城の変遷まで、義光に関連する事柄は一通り揃っているように思われる。個人的には家督継承時の父・義守との対決が、なかなか大規模な抗争だったのを知れたのが良かった。欲を言えば書状類には現代語訳を付けてもらいたかったかな。2016/03/18
いきもの
4
我らが鮭様の人物叢書だーっ!基本的に軍記物等には依らず、一次資料を基にしたことを丁寧に解説していくようなスタイル。義光を過大評価することもなく、冷静に見つめていくような感じ。義光の史実的な基本を押さえるためにはぜひとも読んでおきたい一冊。2016/04/04