内容説明
江戸初期の兵法家。播磨に生まれ新免無二斎に武術を学ぶ。武者修行で諸国を巡り、大坂夏の陣や島原の乱にも出陣。二天一流を開き、姫路や明石で本多家や小笠原家にかかわる。その後小倉を経て熊本に至り、兵法書『五輪書』を執筆。水墨画や書も多く残す。「小倉碑文」などから創られた虚像を解体し、信頼できる史資料から浮かぶ新たな武蔵像を描く。
目次
第1 武蔵の誕生と幼少期
第2 青年期
第3 壮年期
第4 晩年
第5 武蔵の歿後
第6 武蔵の人間像
第7 武蔵の肖像画
著者等紹介
大倉隆二[オオクラリュウジ]
1948年熊本県玉名市生まれ。1971年関西学院大学文学部美学科卒。1972年熊本県立美術館建設準備室~同館学芸課。1991年八代市立博物館副館長~館長。1995年熊本県立美術館学芸課。2007年同副館長。2008年同館定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サケ太
20
宮本武蔵。剣豪としてここまで有名な人物というのはそうはいまい、と思っているが、同時にここまで虚像で彩られた人物というのはのもいないのではないか。小説の題材として挙げられる事も多いこの人物の実像とは。伝説の虚実、何故伝説が創られたのか。史料で判断できる宮本武蔵の足跡。姓の使い分け、朱子学や絵画に対する考察が興味深かった。2023/11/30
電羊齋
3
宮本武蔵に関する信頼できる史料がいかに少ないかがよくわかる本。有名な吉岡一門との勝負、巌流島の決闘でさえ、確実に言えるのは「武蔵が勝った」ことだけらしい。また、武蔵の『五輪書』、水墨画、書を分析し、これまでのイメージとは異なる、武蔵の朱子学的教養を指摘しているのは面白かった。2015/04/19
アキンドン
0
吉川弘文館の人物叢書シリーズは、『今川了俊』『嶋井宗室』など5冊保有していますが、宮本武蔵に関して言えば、雑な印象がぬぐい切れませんでした。というのも、本文中個人名が書かれていましたが、その人がどういった略歴の方か全く存じ上げない。「自分で調べろ」と言うのならば、それは「じゃあ本を出すな」と言いたくなるほどです。これは歴史資料の有無ではなくオルガノン=論理の欠ける文体ですね。武蔵に関してはもっと別の切り口もあるはずです。2023/12/31