内容説明
激動の明治・昭和の狭間で大正時代を治めた「守成」の君主。明治天皇唯一の皇子として手厚く育てられ、国民と身近な人間像を演出した。しかし、生まれながらの虚弱体質により、天皇としては政治的重圧に耐えることができず、在位は短期間に終わった。宮中関係者の日記など、近年公開された史料も活用し、悲運の生涯を浮き彫りにする本格的伝記。
目次
第1 幼少時代(出生;養育と教育)
第2 皇太子時代(皇太子となる;結婚と家庭 ほか)
第3 天皇として(大正政変;政治・社会の動揺と天皇)
第4 摂政設置から死去まで(摂政の設置;死去)
著者等紹介
古川隆久[フルカワタカヒサ]
1962年生まれ。1992年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。日本大学文理学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
9
本文中で度々言及される原武史「大正天皇」を、かなり意識している。新たな大正天皇像を提示する原氏に対して、本書は、影の薄い(或いはマイナスイメージの)従来の姿を補強する。出発点は同じでも、表舞台から退場する皇太子の摂政就任に対する評価は正反対。最初に結論ありきで、原氏が積極的に評価する事例も、無理に貶めている印象を受けた。ただ、新しい説が出れば、カウンターパンチが現れるのは当然で、両書を読めば自分なりの大正天皇像が描けると思う。2021/04/04
SK
2
229*原先生の「大正天皇押し込め説」を否定している。そのため、必要以上に大正天皇の「無能さ」を強調している印象。しかも、虚弱体質であったが故に、無能になったという書き方で、これでは体が弱い人に失礼ではないだろうか。2018/09/30
きさらぎ
1
原武史氏の同題書とあわせて読むとよいと思います。読み物としては原氏の方が気持ちよいし好きですが、私の場合、史実の知識が皆無に等しいため、バランスをとるために併読しました。
多読多量連投が日課だった
0
遠眼鏡はただの噂だと思うがはっきりわからない2017/06/21
りんふぁ
0
大正天皇のことはあまりよく知らないなぁとおもい読みました。出生時に髄膜炎かぁ・・・。いまならもしかしたら軽い脳性麻痺や知的障害の疑いがあったのかもしれないと思いました。兄弟、姉妹が次々と逝去され、たった一人残った皇太子。背負っていたものの重さは測りきれないです。誕生日が8月31日から10月31日に変えたのにもかかわらず、祝日として残ってもいない。明治から昭和へ、橋渡しではないけど、この方がいなかったら、確実に跡継ぎで皇室は混乱したでしょう。しっかりと皇室を守るために生きられた方なのかなと思いました。2013/07/12