内容説明
鎌倉時代後期の歌人。藤原定家の流れを汲む和歌の一門に育ち、伝統的な歌風を刷新する「京極派」を確立。宗家の二条派と争った末、勅撰集『玉葉和歌集』を撰進するが、「和歌の師範」の立場を超えた政治への介入を疎まれ、二度の配流に遭う。清新な美意識と印象鮮明な歌風に彩られた豊富な作品を織り交ぜながら、反骨を貫いた波瀾の生涯を描く実伝。
目次
序 和歌の家
第1 為兼の成長期
第2 政界への進出―正応・永仁期
第3 第一次失脚
第4 帰還以後―嘉元・徳治期
第5 両卿訴陳と『玉葉集』
第6 頂点から第二次失脚へ―正和期
結 為兼の復権
著者等紹介
井上宗雄[イノウエムネオ]
1926年生まれ。1953年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。立教大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
0
思った以上に歴史ベースで書かれているといったところか。これは歌道家為兼の存在は政治的分野と分かちがたく結びついているということなのだろう。私自身が面白く感じたのは、為兼が二条家に楔を打つために二条家の子孫を養子に迎えたり、為子の存在は大きく玉葉集を編む上でも唯一のサポートとして動いていたのではないかということ、両卿訴陳は単純に為兼の出来レースなどではなく、やや為世の方が無難に論を展開しつつも証本において問題があったと推察されるなど、為兼もきちんと渡り合った結果の勝利とも言えそうだったといったところだろう。2014/05/15
Waka
0
今谷明先生の『京極為兼』に岩佐美代子先生が事実誤認を指摘され、井上宗雄先生の『京極為兼』のほうを勧めておられたため、購入。 読みやすいのは今谷先生のほうだが、岩佐先生の推薦ということで井上先生のものも読了。たしかに前者とかなり異なる書き方がなされており(特に佐渡配流の経緯)、両方併読して良かった。猶子たちについても前者より詳しく述べられていたが、例えば多くの系図がこうだとするがこれとこれにはこうあるのでこうだろう、というところで後者を優先する根拠が添えられていたとしたら、いっそう有難かった。2024/09/11
サチ
0
図書館で借り読み。