内容説明
家康を祖父、秀忠を父にもつ「生れながらの将軍」家光。鬱的症状に悩まされながらも、父秀忠、弟忠長、年寄衆との軋轢の中で、幕府の組織・機構を確立する。武家諸法度・参勤交代制によって大名を統制。大きく変動する東アジア世界のなかで鎖国を選択した。その精神を支えたのは家康への敬神である。新たな知見を加えつつ、48年の生涯を描く。
目次
第1 誕生
第2 将軍襲職
第3 将軍から公方へ
第4 「御代替の御上洛」と武家諸法度の改定
第5 幕政の展開と家光の病
第6 鎖国
第7 東照大権現と家光
第8 家光の死
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
14
人物叢書らしい硬派な仕上がりの評伝。48歳没と決して短命というわけではないが、度々病魔に侵され、苦しんでいる姿が印象に残る。一時は将軍専制の体制を目論むも、自らの不調からそれを諦め、老中の協議に委ねるスタイルに変化したのがその最たるもの。ただそのおかげで、将軍個人の資質に左右されない、老中を中心とした安定した支配体制が後継に遺せたとも考えられるかも。為政者の体調が、歴史の大きな流れに影響を与えた一つの例かもしれない。2023/11/16
ゆーみん
0
家康、秀忠から幕府を引き継ぎ、徳川体制を如何にして確立させたのかに興味があったので手にした次第。しかし、正直、家光の偉大さがよく分からず読了に至った。武家諸法度の改正、参勤交代の確立、キリスト教の禁止と鎖国体制の確立と様々なことを政策として実行していったほか、飢饉への対応による社会経済政策にも尽力したことは伺える。しかし、家光の何が凄かったのか、そして諸大名を制圧するカリスマ性は何だったのかはよく分からない。特に後者については、家康と秀忠の功績によるのではないかと思う。また、別の本を読む必要がある。2025/01/18
Ryuji Saito
0
2023年16冊目。2023/02/08