内容説明
佐理は道風・所成とともに三蹟の一に数えられ、平安時代屈指の能書家であった。貴顕の家に生まれて幸福な前半生を送りながら、特異な性格のため、後半生は不遇の連続であった。本書は当時の文献を基礎に、彼の書風を、道風や行成のそれと比較しつつ、その個性の浮彫に巧みな筆致を揮っている。はじめてのまとまった佐理伝。
目次
佐跡
佐理の一生(出生;村上天皇の治世;父の死;童殿上;青年期;詩懐紙;手書きの佐理;大宰大弐;晩年)
佐理の書跡・書風(佐理の書跡;佐理の書風;佐理および佐跡の尊重)
皇室略系図
藤原氏略系図
略年譜
感想・レビュー
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三条院アルパカ
1
道風・行成とともに三跡として名を残す藤原佐理ではあるが、現存する真跡が5点ほどしかなく、その生涯に関する記録は多く残っていない・・・と思い込んでいた私が間違ってました。出世が頭打ちになっていたとはいえ、正三位参議として多くの記録が残されており、この本では発行こそ古いものの多くの記録を丁寧に集めて佐理の生涯を1年毎にまとめてあり読み応えがあった。代表作離洛帖からしてお詫びの文書であり、だらしない人とする記録もあるが、著者は善良な人と評価している。面倒嫌いな出世欲が少ない人だったのかもしれないと私は思った。2017/02/05