内容説明
今川了俊は本名貞世、室町幕府の重臣として九州探題となり、南北朝期に活躍した武将である。しかし了俊は同時に歌人であり、当時の文化を究明する上に、彼の存在は極めて大きい。著者は全国的に了俊関係の資料を博捜し、これを縦横に駆使して、初めて了俊の全体像を浮彫にした。動乱期の政治と文学を鋭く追求した力篇である。
目次
第1 今川氏一門
第2 その父―今川範国
第3 九州探題となるまで
第4 九州探題として
第5 九州探題解任以後―晩年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
11
南北朝時代後期の九州探題・今川了俊の評伝。一人の人間に二人分の人生というか、九州の南朝勢力を壊滅させた武将の面と、冷泉派の指導的歌人の面でそれぞれに名を残しているのがただただ凄い。長寿を保って、政治的に失脚した後も、歌人としては80歳を超えてなお精力的に執筆活動をしているのだから恐れ入る。興味深い部分としては、水島の変で関係がこじれた島津氏の討伐を、探題が罷免される直前まで計画していたこと。南朝と戦いつつも、南九州の国衆を巡って島津氏と神経戦をしているのが印象に残った。2021/06/05
空木モズ
1
図書館から借りた本をやっと読了。読み終わって最初に思ったのは、貞世はエラい長生きだということです。あと、歌とか優美な世界以外は全体的に少弐でした。もちろんというかなんというかもう一回読まないと頭に入って来てない。2014/09/01