内容説明
明治維新の先覚者として推称される土佐藩主山内容堂は、他面では詩酒奔放の行状で世の非難をも受けた。しかし混迷する維新前後の舞台に立って革新的役割を負った容堂は、優れた知性と情熱の持主であるとともに、封建大名という宿命的な地位から、時代に悩む赤裸々な一人間でもあった。見事な史料駆使による人物追求の正伝。
目次
山内容堂とその家譜
外交問題と藩政
安政の大獄
公武合体運動
富国強兵策
討幕派の動き
政権奉還を建白す
王政復古と容堂
大名の時代は去りぬ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
山内容堂とその家譜: 容堂の印象 容堂と襲封事情 外交問題と藩政: 外交意見書 藩政改革着手 名流と知己 新時代への開眼 安政の大獄: 容堂の尊王思想・大阪防衛論 鮫洲の幽居 公武合体運動: 幕政改革と容堂 勅使迎接問題 象山招聘の交渉 容堂と土佐勤王党 朝政参与 富国強兵策: 開成館創立 兵制改革 討幕派の動き 政権奉還を建白す: 容堂と後藤象二郎 政権奉還と討幕派 その後の土佐藩情 王政復古と容堂: 王政復古の発令 小御所の会議 容堂の苦衷 勝者と敗者 大名の時代は去りぬ: 維新政治と容堂 容堂行状記2024/09/30
denz
1
藩祖山内一豊への徳川家の恩顧と闇斎学の勤王思想を早く取り入れた山内家累代の伝統との間で揺れ動き、藩主襲封から中央政局への野心をもち、改革派諸侯の一人に数えられたが、決定的な場面で常に失敗し、主導権を握ることは最後までなかった。しかし、北海道の将来性、長崎での貿易、軍艦への着目、身分制の改革など吉田東洋との協力で行なった政策は、龍馬や岩崎弥太郎、後藤象二郎らに引き継がれた。また、大政奉還後の議会政治の主導者が彼だったことも注目すべきだが、彼であったため、導入が中途半端になったという面もあったかもしれない。2012/04/15