内容説明
正一位太政大臣の身から一転して逆賊の汚名を受け、誅に伏した悲劇の宰相。その波瀾の生涯を時代と共に精彩に描く。藤原氏の嫡流に生まれ聡敏にして学を好んだ仲麻呂は、父の死後政界に乗出し、活躍期はまさに天平の盛時。中国好みの数々の施策を始め、その治績には史上重要なものが多く、奈良朝史解明の秘鍵を握る人物として必読。
目次
父の死まで
政界の藤家―不比等の時代
政界の藤家―武智麻呂の時代
広嗣の乱前後
橘奈良麻呂の変
光明皇太后の死
道鏡との対決
逆謀と敗死〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星乃
3
仲麻呂の功罪がよくわかる。計数に強く唐風趣味で秀才なイメージだったが、そういった華々しい功績は光明皇后が生きている間のこと。それ以降は新貨幣を発行しインフレを招いたり、東大寺の恨みを買うような政策を行ったり何かと問題も。飢饉や信頼していた仲間が次々と亡くなったことを考慮したとしても、結局のところ他の氏族と信頼関係を構築できなかった人望のなさが仲麻呂の敗因なのではないかと手厳しい評価。寺と皇族を敵に回すとろくなことがない。2023/08/05
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
3
父武智麻呂の急死がなかったら「南家の次男坊として、彼はむしろ学問好きな平凡な一貴族として終わったかもしれない。」唐の政治制度を積極的に取り入れつつも経済政策は苦手だったようで、その失敗と天災飢饉疫病とひどい時代だったこともあり、キツそうな人生を生きたと感じた。天平時代って天が平和にならなかった暗い時代だったのかな。溌剌とした飛鳥時代の仏像や建造物と違って、天平時代のものは時代の暗さが表れているというのだけど、自分はそう言われてじっくり見てもわからない。2019/02/08
ほしまめ
1
【授業用】やっぱりこの本買おうかな´`2010/11/07
mantrapri
1
先日、仲麻呂惨死の地・勝野の鬼江に行ってきました。憐れむべし極冠の横死。惜しむべし一族の灰塵。入道相国と比しても、その惨劣るまじ。2009/05/07