内容説明
華麗な天平文化の頂点に立つ“美貌の皇后”彼女はまた凄惨極りない政争の嵐の中にそびえ立つ存在でもあった。彼女は生来の叡智と仏への深い帰依によって数々の事業をなし遂げるが,公私にわたり人間としての悲喜にも遭遇する。この天平宮廷に生きた1女性を,政治・社会・文化の各方面からダイナミックに描き出したものである。
目次
「積善藤家」―2代の功業
「藤3娘」―皇太子妃
立后の前後―天平初期の政局と皇后
仏弟子光明子―皇后の仏教信仰
天平の廟堂―大仏造営をめぐって
柴微中台―仁正皇太后
華蔵の世界―正倉院の御物をめぐって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫草
5
光明皇后とその時代、仏教文化、正倉院御物について、大変読みやすくわかりやすくまとめられています。穏やかでソフトな語り口ですが、史料に対しては厳密で、細かくかつ広範囲な研究をもとに考察されています。皇后は単に天皇の奥さんの中の1番偉い人、ではなかったんですね。天皇と共に政を行う人で場合によっては夫亡き後皇位を継ぐ人。皇族でない光明子がその地位につくことがいかに異例な事だったかよくわかりました。正倉院展、去年上野でやってたんだなあ。行けばよかった。2020/06/14
多読多量連投が日課だった
0
先日NHKで阿修羅像は元は大人顔だったとかので光明皇后んp子供の死が絡んでるのではとやってたなあ。2017/05/25
R.Kubota
0
昭和36年(1961)に初版が刊行されたという本書。必ずしも、藤原仲麻呂(恵美押勝)に飛躍台に利用されながらも権力にすがった女性ではなかったことが分かった。2021/01/20