感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
26
【持統1】持統を巡って、梨木香歩さん、坂東真砂子さん、皆川博子さんとちょっと意外な作家が題材にしており、気になっていた。評伝シリーズの一冊だが、内容は持統天皇出生の時=大化の改新から、天智期を経て壬申の乱、天武-持統期までの通史。時たま「歴史学の範囲を逸脱恐れがあるが」と感想めいたことも書いてあるが、一貫して穏当で手堅く、この期間の標準的な史実を知っておくには好適。本書から伺われる持統の人物像は、「すぐれた政治家としての才能が個人的・家庭的な感情を統制した」理知的な姿であるが、果たしてそうか。■85 2014/05/27
キンとギン
17
大好きな歴史上の人物、持統天皇に関する本。難しそうな表紙だが、実は読みやすかった。「客観的事実」と「推測」をわかりやすくかき分けているところが好感度高い。2016/03/26
take5
12
60年以上前の刊行ですが、持統が登場する歴史小説のほぼ全てで、参考文献として挙げられている(ここ10年くらいに発表された小説でも)持統の基本解説書という感じです。ただ、「天皇制的律令体制」というキーワードが出てくるように、大化の改新以降、父天智、夫天武と共にこの体制を確立した3大巨頭の一人として描かれていて、天智についての記述が5割、天武についての記述が3割(天武を補佐した持統も出てくる)で持統自体についての記述は2割くらいですが過不足ない解説だと思われ、律令制の発展段階は、この方がよく分かると思います。2022/01/28
きゃろ
4
持統天皇の誕生から死まで。里中満智子『天上の虹』からさらに詳しく史実を知りたい人におすすめの一冊。きちんとした学術書である一方、小説のように手に取りやすい。女帝というと、中継ぎのイメージが強く、彼女自身即位の経緯は中継ぎに近いのに、これ程この時代の天皇にふさわしい人物はいなかったように思う。後の政治体制に良くも悪くも大きな影響を及ぼした女性。2013/08/20
むむむ
3
持統天皇という人物を通してみた白鳳時代研究書。専門的な話ばかりなのに、巧みな語り口でまるで小説を読んでいるかのような気分になることも。初版が1960年ということで時代を感じる箇所もかなりあった。女性は感情的ってのは今じゃアウトでしょ。天智称制の理由や薬師寺移転の問題、遣唐使中断の訳などは今日の通説とは異なる説明がなされていたように思う。2019/11/19