出版社内容情報
高群逸枝の柳田國男批判以来、婚姻史研究は様々な学問分野から議論百出の呈をなした。結婚決定のあり方や同居家族・居住形態の実像とは、いかなるものだったのか。平安貴族の婚姻儀礼や用語、邸宅伝領などを分析し、婿取婚から嫁取婚への変容過程を実証。高群説の批判的継承を企図し、当該期に家制度の萌芽と緩やかな父系社会への移行を展望する。
【目次】
序章 古代・中世の婚姻形態と同居家族・家―『招婿婚の研究』の批判的継承―
一 高群逸枝の招婿婚の研究
二 主たる招婿婚批判
三 高群捏造説は栗原弘氏の捏造
四 招婿婚の批判的継承
第一部 婿取婚の成立と展開
第一章 平安中期の婚姻儀礼と家・家族
はじめに
一 平安中期の婚姻儀式の成立と変容
二 婚姻形態と居住形態
三 一夫多妻制の変容
四 貴族の「家」と家族形態
おわりに
第二章 平安時代の天皇・貴族の婚姻儀礼
はじめに
一 天皇・東宮への入内儀礼
二 貴族層の婚姻儀礼
三 貴族層の婚姻儀礼の変容
おわりに
第三章 副臥考
はじめに
一 副臥用語の登場
二 副臥史料
三 元服副臥の変容
四 元服副臥の特質
おわりに
第四章 平安時代の結婚と家族
一 結婚儀式の初見史料
二 一夫多妻と緩やかな夫婦結合
三 密通と儀式婚の成立
四 妻たちと家
補論 「嫁ぐ」のは誰?―言葉のジェンダー変容―
はじめに
一 「嫁ぐ」のは誰?
二 「密通」は不倫ではない
三 「みそか男」「人妻」の出現
おわりに
第二部 婚姻儀礼
第一章 三日夜餅―平安王朝貴族の婚姻儀礼の餅―
はじめに
一 餅を盛る器
二 餅の提供者
三 食餅の作法
おわりに―餅のゆくえ―
第二章 三日夜餅儀の成立と変容
はじめに
一 三日夜餅史料
二 歴史的変容
三 供餅儀の本質
おわりに
第三章 『落窪物語』にみる婚姻儀礼
はじめに
一 二つの婚姻儀礼
二 婚姻儀礼の構成要素
おわりに
第四章 説話にみる平安貴族婚姻儀礼の成立
はじめに
一 八世紀前後の婚姻儀礼
二 貴族層の婚姻儀礼の成立
三 平安後期の婚姻儀礼
おわりに
第五章 書使と後朝使の成立と展開
はじめに
一 書使と後朝使の成立
二 書使と後朝使の成立と変容
おわりに
第六章 衾覆儀の成立と変容
はじめに
一 衾覆儀の成立
二 衾覆儀の変容
三 衾の実態
おわりに
第七章 敦康親王と具平親王女の婚姻儀礼
はじめに
一 「帥宮御方、故中務宮女子参」
二 在所と裳着
三 南陣と北門からの参入
四 渡ったのは誰か
五 同殿での婚姻儀礼
おわりに
第三部 嫁取婚の成立と同居形態