出版社内容情報
黒船来航で緊迫する幕末期、老中に二度就任して幕政の一翼を担った松平忠固。権力の源泉となった縁戚・譜代大名ネットワーク、幕府要職や上田藩主としての職務、海外輸出を念頭に展開した生糸振興策などから、時代の機先を制し、目指した貿易立国構想を検証。また上田藩士や商人らの事績も解明。「開国」に尽力した忠固の知られざる人物像に迫る。
【目次】
「松平忠固」研究序説…岩下哲典
Ⅰ 相続と親類―実家酒井家のネットワーク
松平忠固と三宅康直―姫路藩主酒井家の親族ネットワーク―…矢森小映子
松平忠固と実弟西尾忠受の家督相続…塚越俊志
《コラム》松平忠固の妻妾と子どもたち…東郷えりか
Ⅱ 役職―寺社奉行・老中
大坂城代就任直前の松平忠固の対外認識―新史料、オランダ国王開国勧告親書への忠固意見書―…岩下哲典
老中松平忠固の老中職務とその空間―江戸城御用部屋と江戸藩邸―…鈴木乙都
《コラム》松平忠固と阿部正弘―東京阿部家資料から―…熊野一就
《コラム》天保の飢饉と松平忠固―山家神社の石碑の由来―…関 良基
Ⅲ 政治と交際―将軍継嗣・通商条約問題
幕末大名の交際・交流について―嘉永・安政期の上田藩の事例から―…本林義範
将軍継嗣問題における松平忠固―一橋派と南紀派の狭間で―…宮崎航平
松平忠固と関白九条尚忠の関わり―堀田正睦の上京期を中心に―…東郷えりか
《コラム》ライフル銃と松平忠固…関 良基
Ⅳ 生糸―生産・貿易・教育
文政・天保期の上田藩における産物改所の設立と展開…山村陽仁
松平忠固の生糸輸出準備と日米修好通商条約―経済の論理と政治の論理―…関 良基
長府藩士三吉慎蔵と小県郡立蚕業学校長三吉米熊―幕末維新における軌跡―…小林哲也
《コラム》松平忠固と横浜開港…塚越俊志
《コラム》慶応四年、上田藩の生糸取り扱い横浜商人と藩特産品…岩下哲典
《コラム》上田藩における生糸貿易に関する研究―その歴史と今―…佐々木千恵・岩下哲典
Ⅴ 藩政と藩士―医療・洋学・情報収集・留学
天保期の上田藩における医療政策の動向―疫病対策の検討を中心に―…萱田寛也
幕末上田藩における洋学導入の実態―芦田柔太郎の書簡等を手がかりに―…佐々木千恵
上田藩士赤松小三郎と幕臣勝海舟―その師弟関係について―…和田 勤
幕末期京坂地方における上田藩士服部元戴の活動―ロシア軍艦ディアナ号来航時の情報活動を事例として―…濱口裕介
安政期の上田藩士桜井純造の薩摩留学―「島津家文書」を中心に―…惠谷敏規
《コラム》老中松平忠固とオランダ長崎海軍伝習…塚越俊志
《コラム》善光寺地震における上田藩の被害届とその流布…岡崎佑也
Ⅵ 幕末維新―政治・文化・地域
慶応三・四年における上田藩主松平忠礼の「上京問題」への対応―「御用状」による江戸・京都・上田の情報共有を中心として―…林 萌里
成澤寛経と平田国学―忠固時代の上田と「知」の行方―…相澤みのり
上田藩士上野尚志の近代―その歩みと明治前期における地方文化形成への関わり―…関 廣好
《コラム》旧上田藩関係者による北海道十勝の調査と開拓…塚越俊志
あとがき…関 良基
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