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工芸とナショナリズムの近代―「日本的なもの」の創出

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  • サイズ A5判/ページ数 243,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784642038355
  • NDC分類 750.21
  • Cコード C3072

内容説明

明治二十年代、“美術”に対抗する概念として成立した“工芸”。帝展の工芸部門開設と「新古典派」の出現、戦時体制下における桃山復興、占領統治下の工芸の輸出と日米文化交流、昭和三十年代の「伝統工芸」の成立など、その歴史的展開を辿る。誕生以来、工芸の存立を支えてきた制度や価値体系を手掛かりに、近代ナショナリズムとの関係を問い直す。

目次

プロローグ 工芸における「ナショナリズム」と「伝統」
1 「工芸」ジャンルの形成―明治二十年代のナショナリズムを背景として
2 「帝国」日本における工芸とナショナリズム―アジアへのまなざし
3 工芸における「日本的なもの」―国家主義時代の工芸史観を背景に
4 戦後の日米文化交流のなかの工芸―冷戦を背景に
5 「伝統工芸」の成立―無形文化財制度と戦後ナショナリズム
6 工芸館の誕生―「伝統工芸の殿堂」として

著者等紹介

木田拓也[キダタクヤ]
1970年、石川県に生まれる。1993年、早稲田大学第一文学部卒業。佐倉市立美術館学芸員を経て、現在、東京国立近代美術館主任研究員(工芸館)、博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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kei

1
思ったより陶磁器よりの内容だった。しかし明治期における倣作の肯定と、戦後、S32年の伝統工芸展出展作家たちと日展・第四科会の分裂を画期とする倣作(過去の名品の模倣や復元的制作)からの意識的脱却、戦後ナショナリズムと軌を一にした(無形文化財保持者[いわゆる人間国宝])伝承・復活から創造性の評価・顕彰へという流れは興味深い。 現在の「伝統工芸」と「民芸」の乖離はこういう流れがあってあるものなのか。2015/07/13

URI(病気養生

0
これもまた作られた伝統というか伝統の再発見的な話だとおもった。 しかし谷口吉郎の名前が出てたが実家は工芸職人だったんだな2015/02/27

ちり

0
“戦後、産業構造の近代化によって手工業の存続が危ぶまれるなかで「無形文化財」という概念が成立し/すでに継承が途絶えてしまった、もしくは途絶えてしまいそうな過去の工芸技術や様式を再生する取り組みを評価する制度が確立され、「伝統工芸」が成立を見せることとなった”それが1950年代の話。一方、“重要無形文化財保持者の認定もまた、あくまでも工芸技術そのものを文化財として保護することをめざすものだった。ところが/工芸技術を高度に体得した工芸家の顕彰制度としての性格が強調されることになる”2014/11/21

なこ

0
「伝統工芸」というジャンルが1950年以降のものであることや、工芸全体の中での棲み分けなどについて初めて知ることがあり、良き学びであった。 やはり陶磁、漆、金工は大きなジャンルであるが、染織やガラスについての扱いがほとんど見られなかったのは残念である。そもそも「工芸」で括ることに限界があるのかもしれない。括る意味はあるが、もっと別な捉え方をしていくべきなのだと感じた。 2020/05/10

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