内容説明
男女共同参画の時代を迎えた現在でも、さまざまな困難が女性をとりまき、女性史が明らかにするべき課題は少なくない。明治から現代まで、女性たちは家族や家庭といかに向き合い、地域のなかでどう生きてきたのか。母性の名のもとに戦争協力を余儀なくされていく過程と、戦後の平和と自立へのたゆみない歩みを解明し、女性史の今後への展望を示す。
目次
1 家族・家庭(平民主義の女性論・家庭論―『国民之友』と『家庭雑誌』;良妻賢母主義教育における「家」と職業;木村鐙子の良妻賢母思想―『木村熊二・鐙子往復書簡』から)
2 生活・地域(民俗の転換と女性の役割;地方史のなかの女性を考える;女性・生活からみた地域の歴史―静岡県小山町を例に)
3 戦争・平和(『婦女新聞』にみるアジア観;大正・昭和期農村における婦人団体の社会的機能―愛国婦人会茨城支部をめぐって;女性統合と母性―国家が期待する母親像;女性はなぜ戦争に協力したか;戦争と女性;戦後女性運動再考―地域の視点から「平和」「自立」を考える)
著者等紹介
永原和子[ナガハラカズコ]
1926年東京に生まれる。1947年東京女子大学歴史科卒業。1948年東京女子大学研究科中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Olive
10
1900年から20年代の女子教育発展期、男女の役割分担は、揺るがぬ思想として教育の名のもとで行われた。賢母はその意味を時代によって変えるが、家を守り子を育てる母の姿が一貫としてある。 国家の期待する母像は天皇制国家樹立とともに、高等女子教育の発展の中で貫徹されていく。この思想が地方へ農村へ蚕食した要因の一つに小学校就学率向上がある。 地方も資本化近代化によって古くからの慣習の否定という思想の転換があった。地方農村の生活の変容なども含んだ、長年の研究内容を一冊に盛り込んだ大変幅の広い、内容の濃い研究書。2023/03/24
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