内容説明
都市江戸の人々は、生活の平安・向上を願い、様々な宗教活動を行なっていた。発掘された遺構・遺物をもとに、修験道、地鎮め、マジナイ、墓標、鎮守、富士講など信仰の実態を解明。都市民の行動、精神のあり方を探る。
目次
第一五回大会『江戸の祈り』によせて―基調報告
近世修験の考古学
武甲山山頂遺跡の調査
江戸の地鎮と埋納
礫石経埋納と地鎮・鎮壇
江戸のマジナイ―川崎市市民ミュージアム企画展「呪いと占い」から
「胞衣納め」をめぐって
墓標研究の展望
解き放たれた大名屋敷内鎮守と地域住民―江戸から東京への変遷と流行神太郎稲荷の地域鎮守化
富士講の成立と展開
『江戸の祈り』成果と課題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
momen
0
江戸の民間信仰などを中心とする研究発表会の内容まとめ本。断片的な短い報告の集成だが、江戸時代の民衆の心理や信仰の流行が具体的な事例で伺え面白い。図版も多め。山岳信仰、石にお経を書いて納める礫石経、大名屋敷内神社、胞衣納めなど現在では見られない信仰の数々は、時代の変化の中で変化を遂げ、民衆の素朴な信仰や現世利益のため・レジャーのために発展し、現代は多くが失われた。研究の手法や課題にも詳しく触れており、主に歴史考古学の研究プロセスの一端も伺える。発掘作業の話が多く考古学好きな人にもおすすめ。2025/02/04