内容説明
日本国成立以来最大級の歴史的画期だった武家政権の成立はなぜ起きたのか。十二世紀の気候の冷涼化による社会状況の変化を概観し、保元・平治の乱という政治史上の大事件を中心に追究。気候変動論から時代像を据え直す。
目次
第1章 武人政権の成立と気候変動(十二・十三世紀東アジアにおける武による新秩序;日本武人政権成立史の課題;武家政権成立期の歴史観―『愚管抄』を中心にして;十二世紀における気候変動の把握)
第2章 社会状況論からみた保元の乱(十二世紀前半における飢饉と社会状況;保元の乱前夜;保元の乱―地方における武力衝突の中央への波及)
第3章 保元の乱後の政治と平治の乱(保元の乱後の政治;保元の乱後の信西執政政治;平治の乱)
第4章 平治の乱後の社会と政治(一一六〇年代の相対的安定期;一一七〇年代の悪化期―後白河・清盛協調体制の破綻へ;治承三年十一月クーデターへの道)
著者等紹介
磯貝富士男[イソガイフジオ]
1948年生まれ。1978年東京教育大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、大東文化大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
3
12世紀後半。世界的に、1100年に向かう温暖化の後に、冷涼化が進行。 2020/04/10
アメヲトコ
2
保元・平治の乱から清盛のクーデターまでの武家政権成立過程を、12世紀からの気候変動(寒冷化)にともなう社会変動から分析したもの。視点がとても面白く、ほぼ同じ時期に高麗でも武人政権が成立しているという指摘も興味深いところ。2015/10/18
おっとちゃん
1
気候変動から武家政権の成立を説明。少なくとも飢饉や災害の多発による社会不安や経済環境悪化。国司の徴税と地方納税者の対立という図式は説明力がある。 海水変動曲線が下がるのは15世紀まで続いて16世紀に改善(江戸時代)。 12世紀より前のボトムは650年ごろ(大化の改新) トピックとの関連はあるようにも見える。 2013/12/13