内容説明
若手・ベテラン、女性・男性の研究者が集う前近代女性史研究会が、10周年を記念してその成果を問う論文集。「家族・婚姻と女性」「共同体と女性」「家と女性」の3部から成り、日本古代・中世における女性の地位・役割とその変遷を多面的に解明。今後の家族史・女性史研究への豊かな展望を示すとともに、従来の歴史像の修正を迫る。
目次
1 家族・婚姻と女性(対偶婚概念についての理論的検討;イへの重層性と“家族”―万葉歌にみる帰属感・親愛感をめぐって;下級官人の居住形態―山城国葛野郡高田郷の家地をめぐって;既婚女性の出家と婚姻関係―摂関期を中心に;『源氏物語』における婚姻・家族関係と女性の地位;平安末・鎌倉時代の夫婦呼称の一考察―「女共」「縁友」「縁共」を中心に)
2 共同体と女性(記紀に見える女性像―巫女・女酋・冶工・戦士;中世「緑者」考―特に村落における「地縁」「族縁」の重層性について;中世前期村落の女性―村落祭祀を通して;中世後期百姓の名字・イエ・イエ結合―主に丹波国山国庄を例に;伝統的アイヌ社会における女性の役割)
3 家と女性(元服と家の成立過程―平安貴族の元服と叙位;中世における天皇家―女院領の伝領と養子;中世財産相続法の成立―分割相続について;南北朝・室町期の女性の所領相続―単独相続との関係)