出版社内容情報
原本刊行年月日: 2013年1月15日 第6版第2刷
年に2回,数名ずつの死刑執行が定例のようになってしまった日本。凶悪な事件が起こるたびに死刑の声が高まるなか,あえて死刑廃止を訴える著者の思いは,いよいよ深く確信に満ちたものになっている。21世紀,日本の選択にむけて,著者からの真摯なメッセージ。
「死刑の問題は,社会的な問題であるとともに,人々の心の問題である。犯人に対する関係でも被害者に対する関係でも,その身になって考える思いやりの心が根底になければならない。私は正義を重んじる点では人後に落ちないつもりだが,こうした人間的な思いやりの心を欠くときは,正義は名ばかりの虚しいものになってしまう。人間的な思いやりのある社会においてこそ,正しい死刑論が可能になり,死刑廃止論も完全に結実するであろう。私は,それを次世紀に期待する。」