出版社内容情報
社会倫理学講義
内容説明
倫理学は哲学の一分野として探究されてきた。それは文明の発展や社会の変動とともに深化を余儀なくされた思考の蓄積でもある。ロボットやAIが人間と一緒に暮らす世界が迫り、環境破壊が動物の権利を問う時代、社会とは、そして人間とはいったいどのようなものか。
目次
倫理学とは何か?―どのようなことが論じられるのか?
規範倫理学1 功利主義
規範倫理学2 権利論
規範倫理学3 徳倫理学
メタ倫理学1 表出主義
メタ倫理学2 実在論
メタ倫理学3 錯誤説と逆転説
現代倫理学のコンテクスト
政治哲学
応用倫理学1 生命医療倫理学
応用倫理学2 環境倫理学
応用倫理学3 動物倫理学
応用倫理学4 AI倫理学
人間とはどのようなものか?
著者等紹介
稲葉振一郎[イナバシンイチロウ]
明治学院大学社会学部教授。1963年生。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院経済学研究科第2種博士課程単位取得退学。岡山大学経済学部講師、助教授、明治学院大学社会学部助教授を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うえ
5
「西側マルクス主義は…ソ連崩壊後、「正統派」マルクス主義ともども急激に存在感を低めていく。その理由のひとつは西側マルクス主義が結局批判理論しかできなかったこと、資本主義に対するオルタナティブを提出できなかったこと、にある。現存するソ連型社会主義、西側資本主義それぞれの問題点を克服し、そのどちらよりもマシで、なおかつ実現可能な社会ヴィジョンを提起できなかった。批判理論から踏み出して規範理論の構築に乗り出した西側マルクス主義者は、ハーバーマスが好例だが、結局は左派リベラリズムの立場に行き着かざるをえない」2024/10/09
本命@ふまにたす
2
倫理学一般についての入門書。規範倫理学を入口に、メタ倫理学、応用倫理学についてそれぞれ論じられているが、メタ倫理学に大きく紙幅を割いているのが特徴。倫理学における諸問題や、それに関する理論的立場を知識として整理することができる。2023/04/17
yuno
2
規範倫理学、メタ倫理学、応用倫理学。規範倫理学は、ベンサム、ミルらの功利主義とカント、ロールズらの権利論(義務論)について、議論の流れをなぞりながら論点を整理しつつ、徳倫理学とマルクス主義にも触れている。応用倫理学は、生命医療、環境、動物、AIと最近のトピックに具体化している。各論に深く入っているせいか、功利主義と権利論に対応しているように見えない部分もあり、やや不完全燃焼。メタ倫理学は、読む人が読めばよくまとまっているのだろうが、自分には難しかった…。面白そうな論点だけに残念。いつか再挑戦したい。2023/03/10
Bevel
2
わかりやすいとか、自分の言葉でかみ砕いてくれているという感想よりも、恥ずかし気がまったくないんやなみたいな感想が先に来るようになってしまった。。2023/02/14
Riko
2
専門ではないので頭をひねりながら読みました。。あとがきにあった出版した経緯を読んでへー、となった。図書館本。2021/04/28