内容説明
ソクラテスからサンデルまでの政治思想の流れをコンパクトに描き出す。政治的真理を追究してきた思想家たちの歩みをたどり現代社会における政治のあり方を考える。古代ギリシアにおけるデモクラシーの誕生から20世紀までの政治思想の流れを平易に説明したテキスト。政治的人文主義や共和主義といった、近年活発に議論されている考え方を盛り込み、グローバル・ヒストリーの時代にふさわしい政治思想史を構想する。
目次
第1章 古代ギリシアの政治思想
第2章 ローマの政治思想
第3章 中世ヨーロッパの政治思想
第4章 ルネサンスと宗教改革
第5章 17世紀イングランドの政治思想
第6章 18世紀の政治思想
第7章 米仏二つの革命
第8章 19世紀の政治思想
結章 20世紀の政治思想
著者等紹介
宇野重規[ウノシゲキ]
1967年、東京都生まれ。1996年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。専門は、政治思想史、政治哲学。主な著書に、『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、2004年、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン・ジャパン特別賞受賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ、2007年、サントリー学芸賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
41
いま世界の政治思想が転換点を迎え、保守やリベラル、自由主義の対立が先鋭化しています。でも、この本を読むと、思想は常に揺れ動いてきたことがわかります。保守主義は、急進的なフランス革命の批判からバークが唱えた。単純に変化を嫌う伝統主義とは違い、変化を意識したうえで過去からの価値・習慣・制度を自覚的に選び、保守するもの。デモクラシーはトクヴィルが肯定的に用いるまで、多数者が支配する衆愚政治として否定的に用いられていた。自由主義も小さな政府か大きな政府か、時代により転換した。大学の講義を受けたような読後感です笑。2017/02/11
TS10
20
西洋政治思想の入門書。思想家たちが、先人の著作を読解することを通じて、彼ら自身の政治、社会に対して紡いできた思索が語られる。一般的にはプラトンとアリストテレスが政治思想の祖として有名だが、本書からは、ポリュビオスとリウィウスによる古代ローマ政治史の分析が後世の思想家に巨大な影響を与えてきたことが読み取れる。そうした中で、フランス革命後の政治情勢に大きな影響を与えたとするルソーの思想の異質性は印象的だった。2024/04/08
Haruka Fukuhara
12
著者の専門分野だけにいい本だったと思います。学者はセンスのある一部の人を除いて専門外の発言は控えられた方が好ましい気がするのに色々と言う人が後を絶たないのは自分にはそうしたセンスがあるという自負があるのかある種の責任感なのか単純におしゃべりなのか何なのだろう。2017/06/23
カモメ
9
本書はギリシアからスタートする。ギリシアでは統一的な権力は現れず諸ポリスの併存状態が続いた。それに対しローマは半島を統一し地中海周辺から東方に至る帝国へと拡大した特徴がある。その後キリスト教の与える影響が興味深い。ユダヤは「義の神」、イエスは「愛の神」を説いた。キリスト教は民族の違いは無意味であるとし、底辺の人々にエネルギーを与えるものだった。アウグスティヌスは神は全能であるが悪は人間の自由意志によるとした。2021/05/02
MUNEKAZ
9
大学生向けのテキストとして書かれているだけあって、各思想家の前世代との違いや政治的・社会的な背景について、コンパクトにまとめてある良書。その分一人ひとりについての踏み込みは浅いが、それがサクサク読める要因にもなっていて、高校や大学での授業を思い出しながら学びなおしで読むのにはぴったりであった。折に触れて読み返していきたい一冊。2018/11/30