出版社内容情報
環境問題や資源問題など,私たちの生活と地続きにあるさまざまな社会問題を解くひとつの鍵となる「社会における協力的な関係はいかにして成立するか」という問いに,ゲーム理論などの既存研究を総合的にレビューしながら社会科学的アプローチで取り組む。
内容説明
人間はなぜ協力するのか、そしてなぜ、しばしば協力できないのか。ゲーム理論と社会学との対話からこの根源的な問いに挑む、著者の集大成としての書。
目次
協力問題とは何か
近代社会思想のなかの協力問題
利他性と協力の進化
オルソン問題再考
しっぺ返し戦略への注目―ナッシュ均衡とESS
進化ゲームと間接的互恵性
規範はいかにして創生するか
共有資源とN人囚人のジレンマ
塹壕戦における協力関係はいかにして成立したか
攻撃はメッセージである
なぜ人びとは実験ゲームで協力するか
信頼と社会関係資本
協力はいかにして可能か
著者等紹介
盛山和夫[セイヤマカズオ]
1948年鳥取県に生まれる。1978年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1978年北海道大学文学部助教授、1985年東京大学文学部助教授、1994年東京大学文学部教授、2012年関西学院大学社会学部教授を経て、東京大学名誉教授、博士(社会学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぷほは
5
キングカズの新刊が未だ読了登録ゼロとは驚く。サブタイトルから分かるように、『制度論の構図』の続編として読めるが、ずっと平易で分かりやすい、難解な数式部分は飛ばして読んでも十分知的興奮を味わえる。コールマンの規範生成論の箇所はパーソンズの秩序問題解決法と同じような展開になっているという批判だろう。DC状況においては規範の内面化と文化の共有によってコミュニケーション可能となる→じゃあどうやってその内面化や共有は達成されたの?という問いに著者は「理念的実在」というメタ概念を提示する。正に、社会学の王道らしく。2021/07/23
Go Extreme
1
協力問題とは何か 近代社会思想のなかの協力問題 利他性と協力の進化 オルソン問題再考 しっぺ返し戦略への注目──ナッシュ均衡とESS 進化ゲームと間接互恵性 規範はいかにして創生するか 共有資源とN人囚人のジレンマ 塹壕戦における協力関係はいかにして成立したか 攻撃はメッセージである なぜ人びとは実験ゲームで協力するか 信頼と社会関係資本 協力はいかにして可能か──コミュニケーションと制度2021/07/29