内容説明
混迷と不安のさなかにある21世紀の現在、未来の社会や生き方をしっかりと考えていくためにも、人類の歴史を深いところから突き動かしてきた「宗教」という現象を理解することが不可欠となる。本書は、宗教が持つ「力」―その可能性と問題点の両方を、わかりやすく、明確に解き明かした。暴力、言葉、社会、信仰、回心、日本の宗教、ガンジー、宮沢賢治、矢部喜好、柳宗悦など、豊富で具体的な事例があげられている。
目次
序章 「宗教」とは何かを考える
第1章 宗教と暴力―苦難・救済・非暴力主義
第2章 神話と聖典の言葉―宗教的言語世界にアプローチするためのヒント
第3章 宗教と社会―カルトとの遭遇
第4章 宗教から信仰へ―矢部喜好の良心的兵役拒否をめぐって
第5章 日本人と宗教―「ヒトガミ」の物語
著者等紹介
岡田典夫[オカダノリオ]
茨城キリスト教大学名誉教授。専攻は近代日本教育思想史
小澤浩[コザワヒロシ]
前・富山大学教授。専攻は日本近代民衆宗教史、思想史
櫻井義秀[サクライヨシヒデ]
北海道大学大学院文学研究科教授。専攻は宗教社会学、タイ・東アジアの宗教
島薗進[シマゾノススム]
東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は宗教学、近代日本宗教史、死生学
中村圭志[ナカムラケイシ]
編集、翻訳、著述業。専攻は宗教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なつき
1
【はしプロ宗教14】『はじめて学ぶ宗教 自分で考えたい人のために』読了。私は初学ではないゆえ、びっくりした。なにせ、宗教学概論と宗教言語学と宗教社会学と宗教歴史学と講読入門とでもいうべき各論が集まっている。記述は平易なので入門にも用いることができる。異色ではあった。面白かった。2017/02/26
ゆうちょ
0
宗教は考える動物であるがゆえの人間の心の拠り所である。人々が救われるための(幸せになるための)理由が変化してきている。というのも、昔は、貧しさ、病、争い、による不幸が大半であったが、生活が豊かになった今、むなしさ、心の不幸が増えているからである。そんな現代にあった宗教が日々たくさん生まれている。2014/10/17
雪のした
0
私は神道と仏教がちゃんぽん状態だったのでこれを読んである程度は理解出来ました。また様々な視点からみた宗教観は色々と考えさせられて読んで良かったと思いました。あと難し事は書いてなかったし読みやすかった気がします。2013/11/01
akios
0
答えを得るのはまだまだ遠く先になるだろう。おそらく「神」らしきものはどこかにあるのだろうし、私自身なんらかの「神らしきもの」を信じている。でもそれを他人と共有できるとは思わないし、自分の考えを広めたいとも思わない。私は特定の人を信仰することはできない。特定の人が創りだしたものを盲信することはできない。楽になんてなりたくない。そんなことで楽をしたくはない。答えを得られる本ではないけれど、考えるためのヒントはある、と思う。2012/02/16
Sumiyuki
0
キリスト教を例にすると、世界の中心は、本来自分ではなく他者にある。しかし人間は自分を中心に考えてしまうことが「罪」になる。この罪の意識をいかに持てるかが、独善的な宗教との差になると、僕は思う。ただ僕は特定の宗教を信仰していません。「ヒトガミ」思想は、仏性と繋がるなぁ。「どことて御手の真中なる」を自分のものにしたいなぁ。2011/12/23