内容説明
ナショナル・ブランド(NB)とプライベート・ブランド(PB)、競争と共存を模索する、2つの最適なバランスとは?小売とメーカー双方の視点から、豊富なインタビュー調査、事例研究、データ分析を駆使し、「デュアル・ブランド戦略」の真相に迫る!
目次
PBの台頭とブランド戦略の転換
第1部 シングル・ブランドからデュアル・ブランドへ(NBとPB―欧米における二つのブランドの歴史と現状;日本におけるPBの歴史と現状;PB戦略の論点)
第2部 メーカーのデュアル・ブランド戦略(PBの台頭とNBメーカーの戦略;トップメーカーのデュアル・ブランド戦略;PB製造受託事業の評価―日配食品メーカーの事例から)
第3部 PB商品開発の新潮流(カテゴリー革新とデュアル・ブランド戦略―中食・惣菜メーカーの事例から;サステナブルPB商品の開発―イオン・カスミの事例から;イギリス食品小売業のPB開発;欧州百貨店による衣料品PBの展開)
シングル・ブランド戦略を超えて
著者等紹介
矢作敏行[ヤハギトシユキ]
1969年、国際基督教大学教養学部卒業。現在、法政大学経営学部教授、博士(商学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
25
ナショナルブランド(NB)とプライベートブランド(PB)の起源は19世紀。前者は規格品の大量生産と少量包装という産業と流通の革命から、後者は良質廉価な商品の安定供給から誕生。以来、NBのPB化、PBのNB化、PB比率の向上による流通業者の製造業進出、製造受託での工場の安定稼働と実質のシェア拡大など、製販両方で、バリューチェーン組換えが起こり、地域別、時代別に産業に変革をもたらし、私たちの生活を豊かにしてきた。消費者に安心と信頼を与え、継続的な利用を促す仕組みにこそ価値があり、PB、NBの最適化戦略が重要。2020/01/24
ninoken8
3
NBとPBは「どちらか」ではなく「共存」させることが重要。それをPB、小売、メーカーそれぞれの立場から歴史を紐解き考察する論文のような本。 僕も含めNBを扱う仕事をしている人は、本書を通じてPBを客観的に、多角的に、俯瞰して見ることができると思います。2020/07/15
かわチラ
2
食品メーカーのコンサルティングに活用。今までNB一本槍で、小売側のPB比率の増加やNBの競争激化により売り場シェアが減少傾向にある中、他社OEMやPB商品の受託の方向性を探っていたため、内容的にドンピシャ。大変参考になった。 本書はあくまで研究論文なので戦略策定におけるノウハウ本ではないが、実際にコンサルティングの現場における考え方の基本は理解できる。良書。2014/12/23
飯田一史
1
ダイエー創業者中内功は生産者の寡占勢力に対抗し消費者の購買代理人ダイエー(!)が価格決定権を持つには単品の販売力を大きくする必要があると考え、プライベートブランドを導入。流通研究では小売業が生産段階に介入してPBを開発できるかは小売業の絶対的な企業規模=ナショナルブランドに対抗しうる小売業の販売量を有しているかが決定要因であり、日本でPBが広く見られるようになったのは企業再編が進展し小売市場の上位集中が顕著になった2000年以降とされる。小売業の販売量がより問題になるのは食料品より衣料品分野。以上、メモ。2015/06/11
福島雄一
1
このへんの今年読んだモノで最良、大手流通業者のPB研究書の体をとってはいるものの大戦以降に圧倒的なシェアを獲得してった流通業態の趨勢を販売戦略の設計思想、消費者の反応など詳細な事例で記載されてる。消費構造のメインカルチャーとカウンターカルチャー、そこから成熟、島宇宙化を指向してゆく消費行動を行く先を大資本がどう取り込むのか?とか消費活動が社会的に与える影響の大きさを認識出来る刺激的な内容。2014/11/22