内容説明
民主党政権による保護規制を強化する法改正から、自民党政権による規制緩和への動きを反映、過熱する解雇法制の議論も盛り込んだ!終章は「賃金」「解雇」「限定正社員」「有期雇用」「労働者派遣」「労働時間」という重要課題に対して、今後の政策が目指すべき方向を考えるための、新たな書き下ろし!
目次
法学と経済学の協働は可能か―自由と公正のあいだで
入社する前にクビだなんて―採用内定取消と解雇規制
パート勤めの苦しみと喜び―最低賃金と貧困対策
自由と保障の相克―労働者性
これが格差だ―非正社員
勝ち残るのは誰だ?―採用とマッチング
バブルのツケは誰が払う?―解雇と労働条件変更
残業はサービスしない―労働時間
つぐない―男女間の賃金・待遇格差
わが青春に悔いあり―職業訓練
捨てる神あれば、拾う神あり―障害者雇用
快楽の代償―服務規律
俺は使い捨てなのか―高齢者雇用
仲間は大切
これからの雇用政策を考える
著者等紹介
大内伸哉[オオウチシンヤ]
1963年生まれ。1995年、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。現在、神戸大学大学院法学研究科教授。専攻、労働法
川口大司[カワグチダイジ]
1971年生まれ。2002年、ミシガン州立大学大学院経済学研究科博士課程修了(Ph.D.in Economics)。現在、一橋大学大学院経済学研究科教授。専攻、労働経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かつばやし
1
労働問題に対し、法学・経済学のアプローチによって解説を試みた一冊。法学・経済学の両面から公平に労働事象を分析したかったようだが、法学の切り口からの解説がメインとなり、経済学はとってつけたような印象になっていることは否めない。シンプルにいうと、市場メカニズムに任せておくと発生する「市場の失敗」を労働法がどう補完するか、ということに尽きる。豊富な労働判例をもとに初学者にもとっつきやすい語り口で解説していることは評価できる。各章の頭にある労働小噺が昼ドラのような男女のドロドロの群像劇になっているのが笑えた。2021/06/27
Go Extreme
1
法学と経済学の協働は可能か:自由と公正のあいだで 入社する前にクビだなんて:採用内定取消と解雇規制 パート勤めの苦しみと喜び:最低賃金と貧困対策 自由と保障の相克:労働者性 これが格差だ:非正社員 勝ち残るのは誰だ:採用とマッチング バブルのツケは誰が払う:解雇と労働条件変更 残業はサービスしない:労働時間 つぐない:男女間の賃金・待遇格差 わが青春に悔いあり:職業訓練 捨てる神あれば,拾う神あり:障害者雇用 快楽の代償:服務規律 俺は使い捨てなのか:高齢者雇用 仲間は大切:労働組合 これからの雇用政策2021/05/17
ムンムン
1
法学と経済学の両面から労働を見つめる本である。労働法と経済学の両方を学習した者としてはとても新鮮な内容であった。労働法はどうしても労働者保護に偏った見方をしてしまう。一方、経済学は社会全体の利益を最大化するという見方を提供する。両者は対立するだけでなく、補完しあうこともあるというのがこの本を通じてわかった。2017/03/20
はすはす
1
法学と経済学の対話ということなのだろうが、だいぶ経済学の方に寄っている印象を受けた。社会学者や経営学者の意見も聞いてみたい。2016/02/15
乾良人(カムイ)
1
学者が執筆したということもあり、雇用関係一般の専門用語を覚える上では勉強になり得ますが、本書で提示された理論に新鮮味はなく、むしろ現実を後追いしているような違和感を感じました。国が雇用政策に対して、積極的に介入することを前提とした、政策の提言をするのが本書の特徴といえましょうか。これを労働者側の視点から見れば、本書の考察は現状肯定的な方向に傾いています。2014/03/17