内容説明
ソフトウェア産業にもイノベーション・パターンは存在するのか?革新性の高い製品が世に問われにくくなっていくのはなぜか?日本のゲームソフト産業の歩みを辿り、「新しい」製品を生み出そうとする活動が真に新しい製品を生み出し難くするというパラドキシカルな現象を明らかにした力作。
目次
序章 知識が価値を生む時代に―本書の狙いと構成
第1章 研究の立脚点―これまでの知見
第2章 イノベーション研究の方法―定義、分類、分析枠組み
第3章 ゲームソフト産業の変遷―産業の変化の定性的把握
第4章 ゲームソフト産業で生じた変化―産業の変化の定量的把握
第5章 ゲームソフト産業のイノベーション・パターン―イノベーション・パターンの特定と要因の解釈
第6章 継承期の企業行動の検証―製品戦略、製品開発組織とパフォーマンス
第7章 開発生産性のディレンマ―企業行動、産業、イノベーション・パターンに及ぼす影響
終章 結び―ゲームソフト産業の事例が示唆すること
著者等紹介
生稲史彦[イクイネフミヒコ]
筑波大学システム情報系准教授。1972年千葉県生まれ。1995年東京大学経済学部卒業。2006年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。一橋大学イノベーション研究センター専任講師、文京学院大学経営学部専任講師、同准教授を経て、2011年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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theぶ㌧
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良書。ソフトウェア開発において効率性を推し進めると、製品の新奇性が失われやすくなる、という矛盾に関する本。要するに、続編ゲームと新規ゲームのどちらを開発するかって時に、続編が作られることが多いという話。かなりの数のゲームソフトを新奇性等で分類・分析したことや、多くのゲーム会社に取材しただけあって、単なる利益の話ではなく、ノウハウの蓄積や人材戦略など様々な観点からの議論もあり、面白かった。様々な産業、場面において、非常に示唆に富む本だと思った。2017/03/06
Jey.P.
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「生産性のジレンマ」をゲーム開発に拡張する本。既存のノウハウを流用することによって生産性が向上するが、そのために新奇性の高いイノベーションが生まれなくなる。論旨は納得。結びにあるようなインターネットなどによる破壊的なイノベーションはいま発生しているので、最新の調査も見てみたい。ゲームの新奇性の基準は雑に感じたのでここはゲーム学との連携が必要だろう。企業利益とゲーム界の発展の相反は起業の期待値がマイナス的な話に近いかも。教訓として新しい流れがあり品質が低く見えるとき、破壊的イノベーションの可能性を考慮すべき2021/08/10
mobiile
0
WBS長内さん講義2019/11/30