内容説明
絶対にはずせないポイントにこそ、社会学のおもしろさがある!目の前にある現実を感じ、考え、言葉にする方法。
目次
序 質的調査とは何か(社会学と社会調査;社会学における「データ」とは何か ほか)
1 フィールドワーク(テーマ設定;フィールドワークをする ほか)
2 参与観察(「気分」からの立論;調査のなかから問題設定を立てる ほか)
3 生活史(人生の語りを聞く;生活史調査の歴史 ほか)
著者等紹介
岸政彦[キシマサヒコ]
大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(文学)。現在、龍谷大学社会学部教授。主要著作『断片的なものの社会学』朝日出版社、2015年(紀伊國屋じんぶん大賞2016)
石岡丈昇[イシオカトモノリ]
筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科単位取得退学、博士(学術)。現在、北海道大学大学院教育学研究院准教授。主要著作『ローカルボクサーと貧困世界―マニラのボクシングジムにみる身体文化』世界思想社、2012年(第12回日本社会学会奨励賞著書の部)
丸山里美[マルヤマサトミ]
京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得認定退学、博士(文学)。現在、立命館大学産業社会学部准教授。主要著作『女性ホームレスとして生きる―貧困と排除の社会学』世界思想社、2013年(第33回山川菊栄賞、第5回日本都市社会学会若手奨励賞、第3回福祉社会学会学術賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケー
21
質的な調査の中でも「フィールドワーク(丸山)」「参与観察(石岡)」「生活史(岸)」の三つに焦点を当て、その技法を著者の経験を踏まえながら語ってゆく。大学時代の専攻が近接分野の民俗学なのでなんとなく懐かしさも覚えながら読了。個人的に一度やってみたいのは「生活史」。一回自分のばあちゃんでそれっぽいことはやってみたけれど、確かにこれってとても魅力的。人口が年々減っている自治体に昔は映画館やボーリング場があったなんて驚きの話も聞けたりする。いつか自分の興味にあった聞き取りをやってみたら楽しいだろうなと思う。2020/05/28
katoyann
15
社会学部の学部生向けに書かれた質的社会調査の入門書。方法論はもちろん、背景にある理論や社会学史まで学べる。従来の社会学者による質的調査に関する概説書よりも、マイノリティの立場に立脚した批判的な問題意識を有しているので痛快である。2024/06/14
テツ
13
正直なところ社会学という学問についてはかなり懐疑的なのだけれど(それの第一人者とされている方々が総じてぼくの好みとは合わないので)フィールドワークについてのあれこれや、自分のそれとは根源から異なっている他者の価値観や合理性とどう対峙していくかというお話はとても興味深く面白かったです。他者に対する想像も理解(したつもりになる)も大切だ。それはそう思う。でも社会を構築する上ではどうしたって切り捨てなければならない部分って存在するわけで、そこをどう考えていくのかって群れを成すぼくたちの永遠のテーマだよなあ。2023/02/01
二人娘の父
13
岸先生を通じて社会学を知った自分にとって、必ず読むべきだった教科書。「同化と他者化」で展開されていた桜井厚の批判なども、理解できるようになった(気がする)。フィールドワーク、参与観察、生活史聞き取り。この三つのノウハウは、私が仕事で他者と接して理解する際に、非常に役立つものでもある。大いに学んでいきたい。次は「街の人生」へと進むのである。2021/05/27
やまやま
12
人から聞き取りを行うことについてのノウハウが丁寧に述べられています。聞き取り初心者に向けてのものですが、社会学的な取材に限らず、他人の日常行動の理解を助けます。人の話はできれば勝手に話してくれるものを聞くのが一番で、むしろそういう舞台を上手に作ることはコツの一つであろうと感じました。調査は暴力的な側面を持つという点、またモノの書き手はその葛藤を抱えながら自己実現(表現)を図るということも共感できるところです。取材でのハラスメントや相手にどうしても共感できない場合の例、またその解釈も興味深いです。2021/01/20