内容説明
本書の第一論文は、そのほとんどが独占禁止法と民法学に関する叙述で占められているが、競争法という体系観のなかに知的財産法を位置づける私にとっては、市場と法の役割分担という視点を打ち出す本論文は、発想のもっとも基本となる部分に関わるものであるので、本書の冒頭に配置した。第二論文は法学教室に連載されたものである。『知的財産法』では教科書の冒頭に総論を配している関係で、なかなか具体の解釈論に結びつけて総論を解説することができないでいることを補うために執筆したものであり、初学者向けの体裁をとってはいるが、著者の理論の一つの到達点を示すものである。第三論文以下は、それぞれ特許発明の定義や、特許権と独占禁止法との関係、インターネット上の著作権問題など、最近、著者が書き上げたもののなかから、総論に関係の深いものを選んでいる。
目次
第1章 市場と組織と法をめぐる一考察―民法と競争法の出会い
第2章 知的財産法総論―市場指向型・機能的・自由統御型知的財産法の試み
第3章 特許発明の定義―「自然法則の利用」の要件の意義
第4章 特許権の行使と独占禁止法
第5章 インターネット上の著作権侵害行為の成否と責任主体
第6章 効率性・多様性・自由―インターネット時代の著作権制度のあり方
著者等紹介
田村善之[タムラヨシユキ]
1963年生まれ。1987年東京大学法学部卒業。1987年東京大学法学部助手。1990年北海道大学法学部助教授。1999年北海道大学法学部教授。2000年北海道大学大学院法学研究科教授
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