内容説明
個人・社会・ルールをつなぐものとは。法やルールを、経済学・社会学・心理学といった社会科学の切り口から見つめ直してみよう。法学によらない法学入門!?
目次
第1章 個人の意思決定(インセンティブ―何が人を駆り立てるのか;意図せざる結果―法の影響を認識するために ほか)
第2章 複数の個人の意思決定(均衡―読み合いの止まるところ;囚人のジレンマ―協力と裏切りのしくみ ほか)
第3章 意思決定から社会現象へ(外部性―人はみな孤島にあらず;ネットワーク―人々をつなぐ見えない糸 ほか)
第4章 ルールを求める心(社会規範―人間行動の文法を求めて;互酬性と道徳―人間と法の内なる動力 ほか)
第5章 人間=社会的動物の心理(認知バイアス―合理性からの系統的乖離;フレーミングとアナロジー―抽象化と具体化の往復 ほか)
終章(社会―より良き生への足がかり;社会科学―まだ見ぬ合流地点へ)
著者等紹介
飯田高[イイダタカシ]
1976年兵庫県生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科助手、成蹊大学法学部専任講師、助教授、准教授、教授を経て、2015年より東京大学社会科学研究所准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei-zu
16
法社会学研究者による「法学教室」誌への連載がまとめられた1冊。市役所に勤務する法曹資格所持の知人から推薦されたもの。 日頃、法律に触れる機会は多い仕事だが、社会科学からの「そもそも」の視点は改めて興味深い。 犯罪に対する逮捕の可能性が過剰に見積もられる「認知バイアス」が社会の維持に寄与しているのではという指摘など、なるほどと思わされる。 詳細なゲーム理論の説明もおもしろい。2021/10/22
ま
8
不合理に他人を叩いたりとか、今の世の中にうんざりすることも多い。そんな社会をよりよい方向にデザインするために社会科学を駆使してルール作りしていくって大変だけど実は面白いことなのかもしれない。官僚になりたい学生とかが読むと良さそう。個人に関する情報の入手が困難になると「統計的差別が蔓延することがある」(p193)との指摘は興味深い。著者が意外と若くて驚いた。2020/12/26
TM
4
個人的に興味深い分野を横断的に開設しており,内容的にも分かりやすい。レベルとしては入門レベルではあるが,ここにある内容を深化させた専門的な書物が出れば,是非とも読みたい。2017/10/09
かいのすけ
3
個人と社会の軸、主観的妥当性と客観的合理性の軸で区切られた4象限についてバランスよく解説が及んでいた。2019/09/07
ちくわ
3
法学と経済学及び心理学との関係性をうまく書いている。法を扱う際も、そもそも人及び社会を知らなければ、正論を振り回すだけの危険な凶器の使い手となりかねない。過度な道徳主義と変わらない。人のバイアスを知り、法によって、社会を発展させていくためには何ができるか。法律家の方々には、法を振り回すだけの狂人とならないように気を付けてもらいたい。自分への戒めも含め。読み物としては非常に優れている。2016/08/06