内容説明
学者出身の最高裁判事は、何を見、何を聞き、何を考えたか。
目次
第1章 最高裁判事就任まで
第2章 執務
第3章 関与した事件から
第4章 学者と裁判官の間で
第5章 裁判以外の公務
終章 退官
付録 個別意見
著者等紹介
藤田宙靖[フジタトキヤス]
1940年東京に生まれる。1963年東京大学法学部卒業。現在、東北大学名誉教授、元最高裁判所判事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
21
「……最高裁判事になることによって、大学からの円満退職を始めとし、他の仕事からは一切手を引いて最高裁での仕事に没頭することができたのであるが、……「裁判だけをやって居れば良い」というのが曲者であって、それは結局、いわば懲役囚に対して「お勤めだけをして居れば良い」というのと似たようなものだということが分かるまでには、そう時間は掛らなかった。」2025/02/22
ヤギ郎
8
後半の補足意見は未読。暇な時に目を通したいと思う。行政法の大家である藤田宙靖が,最高裁判事になって経験したことを記した一冊。藤田先生のつっこみがおもしろく,読みごたえがある。裁判官という生活を通じて,日本の司法の抱えている問題が浮き彫りなったと思う。また司法の頂上に立つ者の悩みもうかがえる。良書。2018/03/20
りん
8
訴訟法や官職に関する知識が無いとわかりにくい部分はあるものの、三権の一角の最高機関の実務と実際が窺い知れて純粋に面白かった。実務家と学者の思考回路の違いなど特に。久々に徹夜で読んでしまった。2017/10/14
takizawa
6
関係者に配慮し尽された文章に驚いた。しかしそのせいで素顔が見えないわけではなく,かなり楽しめた。最高裁=保守,学界=リベラルというレッテル貼りは微妙。最高裁は,採用した法解釈がもたらす波及的効果やその対処方法を考えるが,学者はそんなこと考えないから(p.152-153)。裁判官の人事については,「結局,組織体の中での協調性(そのことに関する自覚の有無も含めて)と,リーダーシップの有無についての,所属庁における評価如何なのではないか」(p.168)。なるほど。本当に,一般の組織と大して変わらないのね。2012/12/02
void
3
【★★★★☆】語れないことも少なくないが、それでも赤裸々で面白い。学者から判事になってどう暮らしぶりが変わったのか、具体的にはどういう日々を送ったのか、公務は、外から見たときとの違いは、最高裁は変わりつつありどこにそれが見て取れるか。付録に事案及び多数意見概要と著者の個別意見全文。 「『お忙しいでしょう』と聞かれることがよくあったが、……『あなた、懲役に服している囚人や、戦場で戦っている兵士に対して、お忙しいでしょう、と聞きますか?』と問い返したものだった」(58頁)2014/02/08