内容説明
「適応」と「マイクロ‐マクロ関係」という2つのキーワードを軸に、統合的な視点から「社会的動物」としての人間の姿に迫ります。初版刊行後の新しい研究知見を盛り込んだ改訂版。
目次
「人間の社会性」をどう捉えるか?―適応論的アプローチ
第1部 集団生活と適応(社会的影響過程―集団内行動の文法を探る;社会的交換―集団における適応;グループとしての協調行為―集団を媒介とする適応;社会環境と適応行動―“文化”の生成)
第2部 適応を支える認知(社会的認知のメカニズム―進化論的視点;集団間認知とステレオタイプ―ステレオタイプ化の過程)
統合的な社会心理学に向けて―試論または私論
著者等紹介
亀田竜也[カメダタツヤ]
1960年東京都生まれ。1982年東京大学文学部卒業。1989年米国イリノイ大学大学院心理学研究科博士課程修了(Ph.D.)。現在、北海道大学大学院文学研究科教授。専攻、社会心理学、社会的意思決定論
村田光二[ムラタコウジ]
1954年東京都生まれ。1978年東京大学文学部卒業。1985年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、一橋大学大学院社会学研究科教授。専攻、社会心理学、社会的認知研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りょうみや
12
社会心理学の概要本で、これまで個別的だった社会心理学の各分野を「適応」と「マイクロ-マクロ関係」を軸としてできるだけ統一的にまとめたと言う。この分野の本をそこまでは読んでいないので、これがどれだけのことかは正直分からない。個人と集団・社会との相互作用がよく分かり、一応は教科書だが読んでいてとてもおもしろい。2017/11/29
miyatatsu
8
知らない事が沢山会ったのでとても勉強になりました。2018/10/24
たかね@心理学
5
社会心理学の5つの分野(社会的知覚、社会的相互作用、社会的影響、応用社会心理学)それぞれを簡潔に述べている。実験とともに書かれている傾向が見られた。そのため量は少ないが、ひとつひとつが理解しやすいという感覚を得られた。裸の王様に例えられた集合的無知(pluralistic ignorance)の話が面白い。2014/07/30
まさき|SNS採用に強いフリーランス
4
「適応」と「マイクロ‐マクロ関係」をキーワードに、これまで個別バラバラに語られがちだった社会心理学の統合を試みた入門書。個人・集団・社会が、いかに相互作用を及ぼしあっているかがわかる。進化論やゲーム理論、心理学や社会学のポイントをつまみ食いできる(もっと詳しく学びたい人は、各章末にあるブックリストを参照されると良さげ)。本書で紹介される理論的枠組み(特に印象に残ったのは「社会的インパクト理論」)は、実務で活かせる場面も多そう!たとえばマーケティングとか広告制作とか。2019/04/10
ぽん教授(非実在系)
4
自分がよく使うミクロとマクロの法則の違いは社会心理学では「マイクローマクロ関係」という。この観点から説明するため、よくある社会心理学の教科書がやるような順番である個人→社会とは逆に社会→個人の順番に扱うなど、かなり意欲的なものを目指している。社会認知研究がラストを飾るため、他のマクロな社会のあり方や他の社会科学分野との関連に気付きやすい。2019/03/07