内容説明
近代国家は、国民の上に強大な力を及ぼす一方で、広範な国民の支持なしには存在できない。他方、いかなる国の内政も国際関係と切り離しては考えられず、また関係国の内政を無視した外交もありえない。日本において、そうした強さと脆さが複雑に入り組んだ近代国家における政治権力の形成と発展の過程は、どのようなものであったか。幕末における西洋との出会いから、冷戦の終焉にいたる百三十年余りの日本政治を、外交と権力、すなわち対外問題とそれに対する日本の権力の対応を中心に分析・考察する。
目次
幕藩体制の政治的特質
西洋の衝撃への対応
明治国家の建設
政府批判の噴出
明治憲法体制の成立
議会政治の定着
日清・日露戦争
帝国の膨張
政党政治の発展
国際協調と政党内閣
軍部の台頭
帝国の崩壊
敗戦・占領・講和
自民党政治の発展
国際秩序の変容と冷戦の終焉
著者等紹介
北岡伸一[キタオカシンイチ]
1948年、奈良県に生まれる。1971年、東京大学法学部卒業。1976年、同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。立教大学法学部教授などを経て、現職。この間、2004‐2006年に国連代表部次席大使。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授(日本政治外交史専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
15
明治維新~55年体制崩壊までの日本の政治・外交史。40頁。地租改正。地租が対象になったのは、他の収入が考えられなかったから。関税は低く抑えられており、関税自主権がなかったため、容易に上げることができなかった。もう一つのポイントは、土地所有者への課税。土地所有者から徴税することにより、安定した税収を図った。79頁。なぜ条約改正か。関税が低く抑えられていたため、日本は高めの地租を設定せざるを得ず、それが政治的不安定に繋がるという悪循環を招いていた。また関税自主権の欠如が、日本の国内産業育成の障害となっていた。2016/06/13
とうゆ
12
限りなく教科書的な本。幕末から戦後までの日本行政史が、たんたんと記述されている。陸軍の暴走は政党政治に対する国民の信任がなくなったことから始まったということがわかった。そう考えると、現在のどうせどの政治家に投票しても同じだろう、という雰囲気は非常に不味いのではないだろうか。2015/07/31
あんころもち
10
政治史をリアリスティックに描写した良著。背景となる国内事情、国外事情共に充実しており、非常に読み易い。欲を言えば、満洲事変以後がいまいち唐突な印象を受けたので、もう少し整理して欲しかった。単に満州事変以後の政策がリアリズムでなかっただけなのかもしれないが。2015/02/16
樋口佳之
7
政治史は、経済史や民衆史に置き換えられない、政治的決定は政治の世界でなされているってそりゃ当然だろうし。/70年談話の座長代理を努めた方が若かりし頃に書いた文章。昭和軍部の行いには極めて批判的。侵略の文言にこだわった理由かな/外交と権力という軸で見る。ここは面白かった。2016/06/16
ミカド
4
明治維新から冷戦の終結までの中央レベルでの政治・外交史を簡潔にまとめた本。これから本格的に日本政治史を学ぶため手に取った本であるが日本政治における権力闘争の流れ、また外交での駆け引き等を知るのに非常に役立った。特に藩閥と政党の関係性について興味を持ったが本書のみでは足りないので豊富に記載された参考文献を参照しつつさらに深く学んでいきたい。2016/02/04