感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
バビロン
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公判段階での問題点は、調書裁判主義、五月雨式の裁判により、裁判官の心象形成が、法廷ではなく法廷外で行われていることである。調書により、心象形成が行われるのであれば、もはや直接主義はフィクションに過ぎないと評している。この論文が収録されている本は昭和60年に刊行されているところ、公判段階での問題点は、裁判員裁判制度の導入により、ある程度緩和されたといえる。しかし、非裁判員対象事件では集中審理が取られることは少ないし、捜査段階の問題は解消されていない。これらの問題をどう考えるのかまだ答えは出ない。2024/02/24
バビロン
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かの有名な平野龍一氏の「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」という言葉が印象的で、原論文にあたることにした。ここでは、捜査段階と公判段階の問題点が示されている。捜査段階の問題点は、検察官の権限の肥大化によるものだ。平野博士は、検察官が起訴した段階で、有罪であることは決まっており、刑事裁判は、有罪であることを確認する場であると評している。また、諸外国と比べ、日本では、被疑者段階の身体拘束の要件と公訴提起の要件が同じである(諸外国では公訴提起の要件の方が低いとされている)ことに問題提起をしている。2024/02/24