内容説明
新興俳句から前衛俳句に至る俳句の近代の軌跡を、俳句表現史の視点から作品の表現と構造に即して明晰に論評。
目次
昭和俳句史の記述方法と、その前提検証―「戦後派の功罪」序論
新詩精神運動から戦争俳句へ―昭和十年代、生の証しとしての連作主題主義の俳句
昭和十年代の俳句―新詩精神の成果
日野草城の軌跡
安住あつしと富沢赤黄男
高篤三の作風の展開と『寒紅』の虚実について
連作の座における「蝶墜ちて」の句の読み
戦時下の俳人たち―赤黄男・白泉・六林男を中心に
「戦争俳句」の背景としての現実
戦中の用紙統制と俳誌統合〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
16
川名大の昭和の俳句史を新興俳句寄りの視点で回願していく評論集。新興俳句が京大俳句弾圧事件後に潰され戦時翼賛体制となっていく。そして戦後その反省から精神性はニヒリズムとなっていく。その中で出てきたのが俳句から俳諧への逆ベクトルの反動化(川名大にとってはそう見える)という。体制的な大衆運動のような角川やNKK俳句という。その対抗勢力として金子兜太らの前衛俳句がでてくるのだが、それは今は伊藤園のおーい、お茶大賞化している。俳句が五七五で作りやすい短詩である一方、権威的な者に付きやすい傾向があるのは今後の課題か?2023/10/28




